イタリア発マルチブランド・リテール、スローウエアに新CEOがもたらす進化
そこで、ブランド間のコミュニケーションを強化し、統合的なアプローチをとるために、全ブランドを担当するデザイナーを一名任命した。すでに統合的なアプローチをとっていたウィメンズのコレクションを担当してきた人物だ。今後は、ジェンダーやカテゴリーを越えて全てのデザインを担当する。また同じく全ブランドを担うマーチャンダイザーも新たに一名任命した。
WWD:スローウエアにとって、それはかなり大きい変化では?
ブラガCEO:CEOに就任した当初、この会社固有の縦割りのシステムはロマンがあるものに思えて、むしろ良いと感じた。各セクションを収める屋根としてスローウエアを強化することで、ファッションECの「ネッタポルテ(NET-A-PORTER)」や「ミスターポーター(MR.PORTER.COM)」のように発展させられるかもしれないと考えた。だがそれは私たちのような作り手が担うべきことではなく、リテールの仕事だろうと思うようになった。
大きな転機は、このスローウエアというプロジェクトをトータルのルックで考えるようになったこと。その一歩を踏み出すとき、社内でも大きな抵抗があったのは事実だが、それを乗り越え、結果的にリブランディングにつながっていった。
WWD:では今後は、靴やバッグなどのアイテムをリリースすることもありえる?
ブラガCEO:可能性は十分にある。それらはブランドの成功に不可欠なアイテムだ。もちろん今はリブランディングに集中しなければいけないが、自分自身もアクセサリーやシューズの経験が豊富なので、ブランドにとって良いチャレンジになるだろう。
WWD:先ほど少し話にも出たウィメンズの今後の展開は?
ブラガCEO:ウィメンズは、会社にとっても大切な要素だ。成長の原動力になるし、メンズコレクションとの比較もできる。1970年代の「モンテドーロ」のデザインに注目した。当時はメンズのスタイルを着想源に、カッティングを変えることでウィメンズにアレンジし、男女のコーディネートがリンクしていた。男女とも同じ生地のコートを着たコーディネートを前面に出した70年代の広告も残っている。ボーイフレンドルックやリンクコーデのアイデアは、多くの示唆を与えてくれる。そのままコピーするつもりはないが、ノウハウを活用すれば、オーセンティックでありながら、特別なコレクションが作れる。