イタリア発マルチブランド・リテール、スローウエアに新CEOがもたらす進化
ブラガCEO:スローウエアとはブランド名でも、創始者やオーナーの名前でもなく、概念や考え方。もとは「スローウエア」という屋根の下にトラウザーズの「インコテックス」、ニットの「ザノーネ」、アウターの「モンテドーロ」、シャツの「グランシャツ」という卓越した各ブランドを擁するコンセプトリテールだ。小規模で、決して知名度も高くはないが、ファンには非常に重要なブランド。社長になって、ロイヤルカスタマーの多さに驚き、感動した。
私たちが目指すのは、洗練のエレガンスと、一つのものに固着しないしなやかさ。そして、機能性と使い勝手の良さに宿る美しさ。それらを体現する洋服は、顧客の人生に寄り添う。着心地の良さと機能性を追求するからこそ、各アイテムは、顧客の「第二の肌」となる。それらは全て「着用」できるだけでなく、「使用」できるものだ。
WWD:「着用」と「使用」の違いとは?
ブラガCEO:警察や軍隊の制服やサラリーマンのスーツは「着用」するもの。それはある種のユニフォームで、相手に自分が「警察」や「サラリーマン」であることを伝える役割がある。必ずしも作りが良いわけではなく、職業の固定的なイメージに基づいた見え方が大事なのだろう。一方、服を「使用」することは、その日にどんな経験をするかを考えた上で、数ある中から自分を高めてくれる服を選んで着ること。私たちは、顧客に自分を表現してもらいたい。だからこそ、いろんな種類の生地や色を揃えている。ある種のゆるやかさを持つことも大事だ。凝り固まらず、ちょっとした「間違い」を含み持つぐらいが良い。完璧なエレガンスを想像した時に思い浮かぶのは、当たり前過ぎないコーディネートだ。
イタリアンクラシコのアップデート
WWD:「スローウエア」は「イタリアンクラシコ」のブランドと捉えて良いのか?
ブラガCEO:近年、現代的にアレンジされたクラシックスタイルはファッショニスタをも魅了するトレンドとなっている。このトレンドがいつまで続くかはわからないが、それをできる限り享受したいし、スローウエアをその最前線を走るブランドにしたい。