「女の子は地元でいい」とあきらめないで 慶應女子大生が地方女子のためにシェアハウス運営
「ありがとう、これで孫が大学に行ける」
情報にたどり着けない高校生にも選択肢を知らせたいと、MORE FREEは全国の進学フェアにも参加しています。メンバーは今では18人に増えて、それぞれの母校の高校での講演や、地方でのワークショップの開催など、さらなる展開も計画中です。先の清藤さんも「調べてみれば、実は使えるサポートはいろいろあります。その情報にリーチできれば、東京なんて無理だと思っている人も上京できるかもしれない。『知っていれば東京に行けた、行きたかった』と、知らなかったことで後悔をしてほしくありません」と語ります。 授業やアルバイトに忙しい学生たちが、なぜここまでして活動するのでしょうか。坂本さんは言います。 「大変でも頑張れるのは、解決したい課題を自分自身の問題だと感じているからだと思います。忘れられないのは、シェアハウスに入居する新入生が、おばあちゃんと一緒にあいさつに来たときのこと。『ありがとう。これで孫が大学に行ける』と手作りのお赤飯を手渡された時、自分はこういう人のために頑張ってきたんだと実感しました。私のような境遇にいた人に、自分が実現したことがきちんと届いたんだと思って、涙が止まりませんでした」 同団体では、栄養バランスの取れた食事を大学生に提供する「ガクセイ食堂」も展開するほか、シェアハウス2号棟の25年のオープンも計画中。そのためのクラウドファンディング*も実施しています。さらなる目標は、団体を自立した組織にすることです。 *2024年8月末まで募集中。詳細はCAMPFIREウェブサイトに掲載。 https://camp-fire.jp/projects/758701/view 「今のMORE FREEはただの学生団体で、活動費用はアルバイトで賄いながら、気持ちだけで踏ん張っている状態です。組織は持続できなければ意味がありません。循環できる体制にするために、私が卒業するまでにNPO法人化し、助成金を受けたいと考えています。大学卒業後は一般企業への就職を目指していますが、MORE FREEの活動はライフワークとして続けていく予定です」
朝日新聞Thinkキャンパス