「バカげてると思われるかもしれないけど…」難病を克服してプロテストに合格した女子ゴルファー、平塚新夢が信じたもの
女子ゴルフの平塚新夢選手(24)は2017年、高校3年生のアマチュア選手としてプロの試合に優勝し、大きな注目を集めた。しかしその後、10万人に約3人の確率で発症する指定難病「成人スチル病」を患い、薬の副作用にも悩まされた。快復後、改めてJLPGAプロテストに挑戦しつづける彼女の現在地に、ゴルフライターのコヤマカズヒロさんが迫った――。(連載第3回) 【写真】顔がパンパンになり、まるで別人のようになる「ムーンフェース」状態の平塚選手 ■史上5人目のアマチュア優勝を達成した高校生 2017年のステップ・アップ・ツアー、「静ヒルズレディース 森ビルカップ」は、当時、高校3年生の平塚新夢がプレーオフの末、史上5人目となるアマチュア優勝を果たした。 ステップ・アップ・ツアーとは、国内女子ツアーの2部にあたるもので、若手もベテランもレギュラーツアーを目指すためにしのぎを削っている。賞金は少なく、地方開催も多いため、ファンの間ではその転戦の過酷さでも知られている。 これまでステップ・アップ・ツアーでアマチュア優勝を果たした選手は、堀琴音、新垣比菜、吉本ひかるなど、いずれもプロとなって活躍している。アマチュア選手でありながら、大勢のプロの中に混じって優勝するのだから、その非凡さは言うまでもない。 この時期の国内女子プロゴルフは、まさに新しい若い力が台頭しようとする芽生えの時期だった。中でも衝撃的だったのは、勝みなみと畑岡奈紗という2人のアマチュア選手だ。 2014年に、勝みなみが史上最年少の15歳293日でレギュラーツアー優勝に輝き、さらに2016年には、高校3年生の畑岡奈紗が国内最高峰の大会である日本女子オープンに優勝した。 ■プロの試合で優勝はほぼ不可能だったが… 当然のことながら、プロの試合でアマチュアが優勝することは極めて困難であり、近年になるまでは男女ともかなり珍しい記録だった。一時期はほぼ不可能と思われていたと言っていい。2003年に、当時高校3年生の宮里藍が「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」で勝利したのは、30年ぶり2人目のアマチュア優勝だった。 そんな快挙が短期間に続けて起きたことで、女子ツアーに新しい風が吹く機運が高まっていた。中でも、勝や畑岡の学年は有力選手が非常に多く、黄金世代と呼ばれている。 平塚は、学年では黄金世代のひとつ下になる。彼女の優勝は、また一人、さらに若い世代から次代を担う選手が現れたことに、小さくない驚きと期待をもって迎えられた。