/13 第66回大会(1994年) 史上2人目の完全試合
甲子園の高校野球の長い歴史の中で、一人の走者も出さない完全試合(パーフェクトゲーム)を達成したのは2人しかいない。夏の選手権大会では一度もなく、春のセンバツで1978(昭和53)年の第50回大会で前橋(群馬)の松本稔投手が1回戦の比叡山(滋賀)戦で史上初の快挙を成し遂げた。その後、94(平成6)年の第66回大会で金沢(石川)の中野真博投手が1回戦の江の川(現石見智翠館=島根)戦で2人目の大記録を樹立した。 3年生の中野投手は2年生の春と夏にも甲子園で登板し、いずれも完投しながら1回戦で敗退。投球が単調になったのが原因と分析し、その反省から、多彩なコンビネーションと制球力を身につける練習に取り組んだ。 3度目の甲子園のマウンド。ナチュラルシュート気味の直球、切れの良いカーブ、直球とほぼ変わらないスピードで右打者の外角へ流れるスライダーを絶妙に組み合わせた。江の川の打者はことごとくタイミングを外され、打ち取られていった。投球数は99球、試合時間は1時間28分。 「1アウトを取る度に後ろでみんながオーと声を出すのが聞こえた。守りのチームなので、こういう勝ち方は本当にうれしい」と中野投手は試合後に振り返った。 中野投手は2回戦のPL学園(大阪)戦は先頭打者に安打を打たれ、チームも0-4で敗れた。中野投手の完全試合のウイニングボールは、阪神甲子園球場内の甲子園歴史館に保存されている。=つづく ……………………………………………………………………………………………………… ▽1回戦 江の川 000000000=0 金沢 01002000×=3