日本屈指の“チャンプ製造所”が送りだした「ネクストモンスター候補」4人衆が揃って白星デビュー…大橋会長がMVPに選んだのは「浪速の激闘王」
「いきなりいくつもりじゃなかったし、力みが凄くあった。あまりよくなかった。もっと技術で見せて軽いパンチで倒すイメージだった」 父で専属トレーナーの伸克氏も「いきなりいったので何やってんだこいつは?」と思ったという。 「普段の練習が100倍いい。倒そうと思わなくても勝手に倒れるのがプランで、本当は4ラウンドはやりかった」 ライトアップされ、入場曲にのって登場するプロのリング。「井上尚弥を継ぐ男」としての期待値を、1063人で埋まった“聖地”ホームの観客の視線からヒリヒリと感じた。 「アマチュアにはない初めての経験。それが見せなきゃという力みになって出ちゃった。強い相手にあれをやったら負ける」 標榜するのはスタイリッシュなボクシングだ。 父の伸克氏が説明した。 「鮮やかに倒す。こちらは倒す気はないけれど、知らないうちに倒れていたというのが理想。強いパンチより鋭いパンチ。拳は痛めない。相手も傷つけない。それでいて相手が倒れているというボクシング」 大橋ジムのルーキー4人は全員白星デビューとなった。 「誰がいいスパーをするか。誰がどういう練習をしているか。みんな差はない。4人で競っている感じがある」と坂井は言う。 坂井の次戦は8月27日のフェニックス・バトルに組みこまれる予定。 大橋会長は、デビューした4人を「上出来」と総括した。 そしてMVPに選出したのは、ダウンのピンチから逆転勝利した田中将だった。5月6日の東京ドーム決戦で、ルイス・ネリ(メキシコ)に1ラウンドにダウンを奪われたものの逆転TKO勝利したモンスターのパターンが重なったのかもしれないが、なにより対戦相手のレベルが、一人違っていたからだろう。 「田中将吾が一番良かった。ハートが強い。高熊のパンチがあるのを知っていたので、断ると思っていたが、(トレーナーの)八重樫が大丈夫と言った。さすが浪速の激闘王だ」 田中は総合型。大橋と田中空はハードパンチャー。坂井はスピードとタイミング。大橋ジムが送り出したルーキー4人は、それぞれが階級もスタイルも個性も違うから面白い。5年後、この中から誰が世界のベルトを巻いているのだろうか。
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