神戸で「大正ロマン」満喫 ちょっと変わった模擬挙式開催
神戸で「大正ロマン」満喫 ちょっと変わった模擬挙式開催 撮影:北代靖典
貴重な大正の名建築「神戸迎賓館旧西尾邸」(神戸市須磨区)でこのほど、ちょっと変わった模擬挙式が行われた。神戸港開港150周年記念イベント、レトロな世界観を体現できる「大正浪漫ウエデイング~模擬挙式~」というもの。 【拡大写真付き】空に浮かぶ「タコヤキカクテル」!? コンラッド大阪がメニュー公開
「神戸迎賓館」は1919年(大正8)築。贅を尽くした洋館で、貿易商社を営んでいた資産家の西尾類蔵氏によって建てられ、世界中のVIPを招いてもてなしたと言われる。 2010年、本館を含む5棟の建造物が兵庫県指定重要有形文化財に登録。クラシックな屋敷を取り巻く1万平方メートルの広大な敷地も、2006年に神戸市名勝庭園に指定されている。 そんな中、模擬挙式では新郎新婦は和装と洋装のミックスの装いで登場。アコーディオンの生伴奏、メイド服を着たスタッフらがサーブするなど、参列したゲストは大正時代にタイムスリップしたような感覚になる。まるで映画のワンシーンを彷彿させ、その世界観を体現できるようになっている。 「多くの命の中から運命の糸で結ばれたお2人は今日この日を迎えるにあたり、固い決意で結ばれ、これよりは結婚の形として誓約書にサインをして頂きます」と司会者の挨拶の中、挙式が始まった。赤階段やステンドグラス前での模擬挙式は30分ほどだが、懐かしい赤玉ポートワインも登場し、細部にわたって大正浪漫が匂いたつ。
続いて場所を移動して披露宴会場へ。披露宴でふるまわれる料理メニューのいくつかは、約100年前の手法で作られた特別なものだという。昔ながらの大皿からサーブするパフォーマンスを取り入れるなど、演出にもこだわっている。 料理はクラシックフレンチフルコースだ。「サーモンのショーフロワーキャビア添え ピーツのゼリーとサラダ」「地鶏のヴェルーテ フォアグラのポワレ マッシュルームのカプチーノ」「舌平目のデュグレレ風」「牛フィレ肉 オルロフ皇帝風」「プロフィトロールショコラ」「パン・コーヒー」。普段は味わうことのない凝った料理で、石井之悠グランシェフはこう話す。 「当時は乳製品というのが非常に高価で、だから乳製品を使わずに、コクをどう出すかに苦心しました。ただ、料理の手引書がありますので、それは100年前の本ですが、そのバイブルを参考にして作り上げたものです。もっとも、これらの料理はここだけのメニューです」 これらの挙式を企画する「バリューマネジメント」(本社:大阪市北区)は、文化財や歴史的建造物などをレストラン、結婚式場、宿泊施設などに利活用する事業を手掛け「日本文化を紡ぐ」というコンセプトを軸に現在は関西を中心に約10施設を運営。「空間・料理・サービスのすべてを本物にこだわるなど、思い出に残る1日を演出していく」としている。 (文責/フリーライター・北代靖典)