2025年「全羅南道の憤怒」が爆発し、朝鮮半島が激変する!
米朝交渉が再開する条件
それでもその前提は、北朝鮮の脅威が減ること。すなわち、米朝交渉が復活することである。 トランプ大統領と金正恩委員長の米朝首脳会談は、前述の2018年6月の後、翌2019年2月にハノイで2回目が開かれ、同年6月に韓国と北朝鮮を隔てる板門店(パンムンジョム)で3回目が開かれた。だが、「ノーディール」(成果なし)で終了。続く現在のジョー・バイデン民主党政権下では、「戦略的忍耐」というバラク・オバマ政権の「北朝鮮無視政策」を引き継いで、没交渉だった。 そのため北朝鮮としては、トランプ新政権に大いに期待をかけている。トランプ大統領を「本気」にさせるには、まずは「ハードルを上げる」ことだ。つまり、一時的に強硬路線を貫いていくだろう。 北朝鮮は周知のように、すでに1万人を超える朝鮮人民軍兵士を、盟友のロシアを助けるべくウクライナ戦争に参戦させている。 実はこの一件でも、あまり俎上(そじょう)に上っていない事実がある。それは、最初に兵士たちを派遣した時期は、アメリカ大統領選と期を一にしていたということだ。 これは単なる偶然だろうか? 私は、アメリカ大統領選挙でトランプ候補が勝利しそうだということで、金正恩委員長が「参戦」を最終決定したと見ている。
ウクライナ和平と米朝交渉の一体化
トランプ政権が発足すると、移民問題やインフレ対策、政府機関の再編など、アメリカの国内問題への対応に追われる。その合間に行う外交では、当然ながら「いま戦争・紛争が起こっている地域」、すなわちウクライナと中東が最優先される。つまり米朝交渉は、後回しにされてしまう。 これを回避するための方策として、ウクライナの和平と米朝交渉の一体化を図ったのである。朝鮮人民軍がウクライナ戦争に参戦したなら、両者はおのずとリンクしてくるからだ。 この方針をさらに推し進めるため、金正恩委員長が、5月9日にモスクワで行われる予定の「祖国戦争勝利80周年軍事パレード」に参列する可能性がある。実現すれば、金委員長としては初のモスクワ訪問となる。 実は10年前の70周年の時にも、金委員長はモスクワを訪問しようとしたが、かなわなかった。当時、事情を知る人物は、私にこう明かした。 「玄永哲(ヒョン・ヨンチョル)人民武力相(防衛相)が金正恩訪ロの旗振り役で、(2015年)4月中旬に先遣隊としてモスクワを訪問した。だが金正恩委員長が望んでいた、軍事パレードでの特別扱い(他の参列者より優遇してプーチン大統領と同列で閲兵すること)や、最新鋭ミサイルの売却といった要求を、プーチン大統領がことごとく拒否した。それで失意のままに帰国した玄永哲人民武力相は、国家反逆罪でひっ捕らえられ、公開処刑に処せられた。金正恩委員長のロシア訪問も、雲散霧消となった」