2025年「全羅南道の憤怒」が爆発し、朝鮮半島が激変する!
追い打ちをかけるような大事故
そうした中で、12月29日に大事故が起こった。韓国南部の全羅南道(チョルラナムド)務安(ムアン)空港に着陸を試みていたバンコク発済州(チェジュ)航空7C2216便が、滑走路を越えて壁に激突。乗客乗員181人のうち、171人が即死するという韓国航空史上最悪の惨事となった。私も飛行機が壁に激突して炎上する瞬間の映像を見たが、胸が痛くなった。 務安空港には即日、崔相穆大統領代行が入ったが、多くの被害者の家族らが詰めかけ、修羅場(しゅらば)と化した。1月4日まで「国家哀悼期間」に定められ、5200万韓国人は、正月気分も吹っ飛んだ。 ところで、この大事故に関して、ほとんど指摘されていないことがある。それは、全羅南道の空港で発生した事故であり、おそらく大半の犠牲者は、全羅南道の人々だということだ。 思えば、12月3日の「大統領によるクーデター」で注目されたのも、全羅南道だった。1980年5月18日に全羅南道の道庁・光州(クアンジュ)で起こった光州事件の再来を想起させたからだ。光州事件は、民主化を求める若者ら144人(これは公式発表で実際はもっと多数)が戒厳軍に虐殺された、韓国現代史の「汚点」とも言える事件だ。 そのため、非常戒厳に対して、最も強い怒りを発したのが全羅南道の人々であり、全羅南道出身の議員たちが要職に就く最大野党「共に民主党」だった。そして、そのような「憤怒」が、尹大統領を職務停止に追い込んだのだが、その全羅南道が再び大打撃を受けたのである。
「二重の憤怒」が誕生させる李在明大統領
こうした全羅南道の「二重の憤怒」は今後、政治に向かうだろう。おそらく、5月か6月頃に、「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表が、新たな大統領に就任するものと思われる。 李在明氏の経歴や政治思想については、先月このコラムで詳述した記事を参照してほしい。 「悪夢の文在寅政権」の再来も…悩める国・韓国で「反日モンスター」政権が生まれる日 ともあれこのような事情から、李在明政権は、「恨みを晴らす政権」となる。もともと「韓国のトランプ」の異名を取る政治家なので、まさに本家トランプ大統領の如く、「ほしいがままの政治」を行うに違いない。 李在明大統領が誕生したら、具体的にどんなことを為すのか? まず国内では、「左派の先輩」である文在寅(ムン・ジェイン)前大統領がかつて行った「積弊清算」(せきへいせいさん)の復活である。 積弊清算とは、尹錫悦大統領を代表とする右派(保守勢力)は、日本植民地時代から連綿と続く既得権を手離さず、それをもとに長年にわたって権勢を振るってきた。そうした積年の悪弊を清算していくというものだ。 つまり、左派(進歩勢力)による右派を対象にした政治報復である。「朝鮮半島で最も危険なポストは韓国の大統領と北朝鮮のナンバー2」という笑えないジョークがあるが、尹錫悦大統領は李在明政権が誕生するや、監獄にぶち込まれ、少なくとも次の政権交代までは出られなくなるだろう。 尹大統領の金建希(キム・ゴンヒ)夫人も、ほぼ確実に同様の目に遭う。尹大統領の忠臣たちも同罪だ。韓国では、右派政権の時は左派に比較的甘いが、左派が権力を手にした時は、右派に容赦しない。