2025年「全羅南道の憤怒」が爆発し、朝鮮半島が激変する!
李在明大統領が思い描く「日本超え」
問題は、李在明新大統領による「積弊清算」は、外交にも及ぶことだ。最大の「恨みの対象」は、当然ながら朝鮮半島を35年(1910年~1945年)にわたって植民地支配した日本である。 尹錫悦大統領の最大の功績が、日韓関係を最悪から最良に変えたことだった。尹大統領は岸田文雄前首相との間で12回もの日韓首脳会談を開催。慰安婦、徴用工、レーダー照射、旭日旗掲揚、GSMIA(軍事情報包括保護協定)、輸出規制、福島原発のALPS処理水、佐渡金山のユネスコ世界文化遺産登録という「8大懸案事項」を、ことごとく解決に導いた。 そんな日韓関係を、李在明新政権は基本的に、再び文在寅政権時代の状況に戻すだろう。だが文在寅前大統領のように、やみくもに日本に「噛みつく」というわけではなく、より戦略的に行うに違いない。 おそらく李氏が脳裏に思い描いているのは、「克日」(こくにち)である。すなわち、日本を韓国の「最大のライバル国家」と捉え、あらゆる意味で超えることによって「歴史コンプレックス」を克服しようということだ。 例えば、経済界でサムスン電子に匹敵する日本のIT企業はない。エンタメ界でも、韓ドラやK-POPはすでに日本を凌駕(りょうが)している。同様に、あらゆる分野で日本を超えることを政権の目標にしていく。
米韓政権によるディール外交
その一方で、同盟国アメリカのトランプ政権とは、ディール(取引)外交を行うだろう。 トランプ大統領は右派で、李在明大統領は左派だが、個人的には大いにウマが合いそうだ。両者とも「既存のエリート」ではない生粋(きっすい)の叩き上げ政治家である。前例にとらわれず、周囲の反対の声をものともせず、ダイナミックな政策をエネルギッシュに展開していく政治スタイルも共通している。 米韓新政権によるディールは、まずは貿易分野で行われるだろう。だが、最も注目すべきは在韓米軍の縮小問題である。 先月18日、アメリカ連邦議会上院は、2025年会計年度(2024年10月~2025年9月)の国防権限法(NDAA)を通過させた。それによると、在韓米軍は約2万8500人の現状兵力を維持する。 ところがトランプ大統領は、これに反対である。私は2018年6月12日、シンガポールで初の米朝首脳会談を取材した際、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長との会談を終えたばかりのトランプ大統領が行った記者会見で、驚くべき言葉を吐いたのを聞いた。 「いまから自分と金正恩が話し合って、朝鮮半島を平和にしていくんだから、もう在韓米軍は不要だろう。カネの無駄だし、撤退すればよい」 この時は、ワシントンへ戻ったトランプ大統領が、強大な勢力を誇る国防族の議員たちや軍需産業などから「羽交い絞め」にされて、発言は「空砲」に終わった。その後の米朝交渉が「決裂」したことも、在韓米軍の現状維持を後押しした。 だが周知のように、現在のトランプ大統領は、当時とは比較にならないほどパワーアップしている。そして李在明新大統領も、在韓米軍の撤退や縮小には、大いに賛成なのだ。