アニメはサブカルからメインカルチャーへ。「すずめの戸締まり」「SPY×FAMILY」プロデューサーらに聞くアニメ業界最前線
一般社団法人日本動画協会が発行する「アニメ産業レポート2024」によると、2023年の日本のアニメ関連市場はついに3兆円を突破した。日本のみならず、世界中で人気を集める日本のアニメ。その最前線で活躍する3人のプロデューサーに、アニメ業界のいまや海外ビジネス、クリエイターへの利益還元などについてインタビューした。 【全画像をみる】アニメはサブカルからメインカルチャーへ。「すずめの戸締まり」「SPY×FAMILY」プロデューサーらに聞くアニメ業界最前線 岡村和佳菜:東宝を経て、STORY inc.所属。担当作に「きみの色」「すずめの戸締まり」「天気の子」「僕のヒーローアカデミア」「ハイキュー!!︎」など。 福島祐一:CloverWorks執行役員。JOEN代表取締役。担当作に「SPY×FAMILY」「WIND BREAKER」「ダーリン・イン・ザ・フランキス」など。 中武哲也:WIT STUDIO取締役・共同創業者。JOEN 代表取締役。担当作に「進撃の巨人」「SPY×FAMILY」「ギルティクラウン」など。
興収100億円超えもアニメなら珍しくない
──アニメの市場規模がついに3兆円を超えました。盛り上がりは感じていらっしゃいますか? 岡村:私は結構実感がありますね。かつては映画の興行収入で100億円超えと聞くとびっくりするような数字でした。それが今やアニメ映画だと珍しくなくなってきた。 ── 転換点はどこですか? 岡村:やはり2020年の劇場版「鬼滅の刃」無限列車編以降だと思います。いまの若い子たちは本当にアニメを当たり前に見ているんですよ。グッズだって買うし、カバンとかにつけている。電車内を見ていても、大人を含め、アニメを見ている人が本当に増えました。アニメがサブカルチャーからメインカルチャーになったという実感があります。 福島 :僕は3兆円規模のビジネスだという実感は正直ないのですが、グレードアップみたいなものは感じるかもしれません。制作コストはどんどん上がっていますし、それに伴ってクリエイターの拘束費(※特定の期間、一作品に集中してもらうために支払う費用)なども高騰している印象です。 中武:現場で一番感じる変化は、やっぱり拘束費ですよね。 ── そんなにですか。 中武:すごいですよ。本当に上がっています。