日本の防衛費、GDPの3%を要求?第2次トランプ政権でどうなる日米関係
米大統領選は共和党のドナルド・トランプ氏が民主党のカマラ・ハリス副大統領を破って返り咲きを決め、政権移行準備に入りました。トランプ氏は2017~2021年の前回大統領在任中、日本に対し安全保障関連経費の負担や貿易交渉などで厳しい要求を突きつけた経緯があります。2025年1月20日に再び大統領に就任した後は、前回以上に厳しい態度で臨む可能性も指摘されています。日米関係は第2次トランプ政権でどうなるのでしょうか。その行方をやさしく解説します。 【図】トランプ氏の主張と日本の立場、溝は大きい? (西村卓也:フリーランス記者、フロントラインプレス) ■ 石破首相、電話会談はわずか5分 石破茂首相はトランプ氏が当選を確実にすると、すぐに電話会談を行いました。約5分の会話でしたが、当選を祝福し、できるだけ早く首脳会談を実施したい考えを伝えました。 11月中旬にAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議などで南米を訪問した後に、米ワシントンに立ち寄り、日米首脳会談を行う方向で両政府間の調整が進んでいます。 早期の首脳会談にこだわるのは、「成功体験」があるからです。2016年にトランプ氏が大統領に当選した際、欧州各国は過激な発言を繰り返していたトランプ氏に警戒を強めていました。ドイツのメルケル首相(当時)など欧州の首脳は、トランプ氏との関係強化に慎重だったのです。 そんな中、日本の安倍晋三首相(当時)は他国に先駆けて大統領就任前のトランプ氏と会談しました。トランプ氏が所有するニューヨークの「トランプ・タワー」を訪問し、ゴルフクラブをプレゼントするなどして歓心を買ったのです。これにより、安倍・トランプ両氏の個人的な信頼関係が深まり、その後の日米間の外交がスムーズに進んだと言われています。 石破首相もこれにならって、早期訪問で関係を深め、外交の諸課題解決に役立てたい考えのようです。東アジア地域では中国が南シナ海や東シナ海への進出を図る一方、台湾統一への意欲を隠していません。北朝鮮は核・ミサイル開発を進め、ウクライナ侵攻を続けるロシアとの関係を強化しています。地域の安全保障の観点から、日米関係の強化は重要な課題と言えるでしょう。 ただ、首脳が個人的に親しければ外交がうまく運ぶというわけではありません。 例えば、安倍氏は北朝鮮に対して「対話」よりも「圧力」重視の姿勢で臨んでいましたが、トランプ氏は2018年6月、日本側と十分な情報交換をすることもなく、北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党総書記とシンガポールで会談しました。その後、2019年2月にはベトナムのハノイで再会談。同年6月には韓国と北朝鮮の軍事境界線「板門店」でも3回目の米朝首脳会談が行われました。 このとき、トランプ氏は軍事境界線を徒歩で越えて北朝鮮側に入り、世界の耳目を集めましたが、核・ミサイル廃棄と制裁解除をめぐって合意に至らず、米朝関係は改善しないまま今日に至っています。