「破滅的消費」で憂さ晴らし、経済事情で「即同棲」…アメリカ経済を苦境に陥れる“若者たちの抑圧”
民主党は「労働者層に見放された」
米メディアは11月9日、米大統領選挙で共和党候補のドナルド・トランプ氏がアリゾナ州での勝利を確実にしたことを報じた。これにより、トランプ氏が確保した選挙人は過半数の270を超える312人となり、民主党候補のカマラ・ハリス氏の226人を大きく上回った。 【写真】「トランプ復活」で思い出される日本の政治家といえば
今回の大統領選挙は「まれに見る激戦」と予想されていたが、トランプ氏の票数は約7460万票と、20年ぶりに総得票数で民主党候補を凌駕した。 2016年と2020年に民主党の大統領予備選に出馬したバーニー・サンダース上院議員(バーモント州選出)は6日、民主党の歴史的な敗北は「労働者層を見捨てたために彼らに見放された結果だ」と述べ、怒りを抱えた米国民が変化を求めているにもかかわらず、指導部がこれに気づかなかったことを厳しく批判した。 だが、トランプ氏の勝利に有権者が満足しているわけではない。
政治の分断、不況…国民の不満は山積み
米CNNの出口調査で、有権者の10人中4人が米国の現状に不満を示し、10人中3人が怒っていることが明らかになっている。 大統領選直後に米国内で海外移住への関心が急激に高まっている。移住先として人気を集めているのはカナダやニュージーランド、オーストラリアなどだ。専門家は「米国の民主主義に対する危機意識が背景にある」と分析している(11月8日付ロイター)。 政治の分断に加えて経済的な事情も悩みの種だ。 物価高、特に、住宅費の高騰が今回の大統領選の主要な争点だった。バイデン政権は低価格住宅を供給する政策を実施し始めているが、住宅費は一向に低下しないのが現状だ。 住宅事情の悪化から、雇用機会に対応した労働者の自由な移動が阻害され、米国経済が打撃を被っているとの指摘がある(8月8日付ブルームバーグ)。 米国のホームレスの数は昨年末時点で65万人超となり、過去最高を記録している。
恋愛事情の変化が少子化傾向に
しわ寄せを最も受けている若者たちは、行動パターンに変化が生じている。 たとえば家賃を節約するため、付き合い始めてすぐに同棲する例が増えている。同棲した若者の8割が、決め手は「経済的理由」と回答しているものの、多くは経済的な理由で同棲したことを後悔しており、今後の恋愛についても消極的になっているという。(9月19日付クーリエ・ジャポン) 日本ではあまり認識されていないが、米国でも少子化が進んでいる。 米疾病対策センター(CDC)の発表によれば、2023年の合計特殊出生率(1人の女性が一生の間に出産する子供の数)は1.62と過去最低だった。米国の出生率は1971年から下がり始め、2007年以降は一貫して置換率(現在の人口が均衡した状態を保つための出生率)である2.1を下回っている。 昨年の出生数も360万人弱で、約340万人だった1979年以来の低い水準だ。住宅費の高騰が災いして若者たちが恋愛に消極的になれば、米国の少子化はますます進んでしまうのではないだろうか。