《群馬・伊勢崎》「笑顔と死に顔が交互に…」2歳男児と夫と義父を奪った、飲酒運転男の信じがたい悪癖
《私達家族は加害者が逮捕された日、また殺されたようなものでした》 5月6日、群馬県伊勢崎市の国道で対向車線から飛び出してきたトラックと乗用車が衝突する事故が起きた。これにより、乗用車に乗っていた塚越湊斗(みなと)くん(2)、父親の寛人さん(26)、祖父の正宏さん(53)の3人が亡くなった。 【写真】卑劣な飲酒運転による事故で命を落とした家族、生前の幸せな姿 「事故直後に行った検査で、トラック運転手の血中から基準値を超えるアルコールが検出されたのです。勤務していた運送会社で運転する前に行った検査ではアルコールが検出されていなかったことや、ドライブレコーダーに飲酒する様子が映っていないことから、運転手は検査後から運転するまでの間に酒を飲んだと見られています」(全国紙社会部記者)
「笑顔と、死に顔が、交互に」
群馬県警は8月20日、トラックを運転していた鈴木吾郎容疑者(69)を、自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)の疑いで逮捕。鈴木容疑者は「事故を起こしたことは間違いないが、よく覚えていない」と、容疑の一部を否認した。 義父と夫、そして2歳の愛息を同時に失った母親は、冒頭のようにSNSで苦しい胸の内を吐露している。 《笑顔と、死に顔が、交互に出てきて。動いてる姿と、動かなくなった姿が交互に出てきて。これが毎日毎日頭の中で繰り返されてて。頭の中ではママ。って声が聞こえて》 《こんな事になるなら病児保育に預けたり、土日も働いたりしなければよかった。机の上に乗ろうとした事、怒ったりしなければよかった。一瞬の後悔が一生の後悔になるなんて思わなかった》 当たり前にあった幸せが、一瞬にして消えてしまった。 魔が差した─そんな言葉では片づけられない。検査後に酒を飲むという異常行動をとった鈴木容疑者の素顔とは。
「酒はやめた」と話していたが
'91年、群馬県・吉岡町に2階建ての一軒家を建てた鈴木容疑者。子宝にも恵まれた。 「お子さんは2人いらっしゃいますが、もう家を出ていて、今は奥さんと2人暮らし。ご主人は穏やかな、ごくごく普通の人です。ただ、あまり近所付き合いがなくて会うのは年数回の道路清掃のときぐらい。あとは車に乗って仕事に行く姿を見かけるだけ。お酒のトラブルは聞いたことがない……」 と、近隣住民の男性は話す。しかし、 「酒を飲まなければ、いい人なんだけどねぇ」 そう話すのは、鈴木容疑者の元同僚だ。事故を起こした当時、鈴木容疑者は群馬県前橋市に本社を置く運送会社に勤めていたが、その前も県内の別の運送会社で30年以上、トラックの運転手として働いていた。 「物静かで穏やかな人。でも暗いわけじゃなく、気さくでね。それで、とにかくお酒が好きなんです。飲めば陽気になるぐらいで、楽しく飲んでいるにはいいんだけど……」 そこまで話して、元同僚の男性は言い淀む。そして、 「前の職場も、酒が原因で辞めているんですよ。トラックの運転手ですから気性の荒い人間が多く、揉めごとになりやすいのもありますが、とにかく鈴木さんは酒を飲むと、しょっちゅうケンカをしていた。あるとき会社の新年会でも大ゲンカになったんですが、鈴木さんはその直後に退社した。会社から言われたのか、悪いと思って自ら辞めたのかはわかりません。会社を辞めるときに“酒はやめた”と話していたんだが……」(元同僚の男性) 酔った際に出る自身の“悪癖”を反省していたはずが、 「事故当時の運送会社は、働いて10年ほどのようですが、2年ほど前にも乗務前の検査でアルコールが検出されたことが2回あり、その日は業務ができなかったことがわかっています」(前出・記者)