発達支援のプロが教える!発達障害のある子が伸びる声かけ・褒め方・叱り方
悩み実例②「なかなか指示が伝わらない」
小嶋:そういうお子さんは「集中できない」と捉えられがちなんですが、指示の仕方に問題があるケースも考えられます。たとえば、子どもが自分の注目する前に指示を出してしまっていたり、気が散るような物を持ったままで指示していたりする。あとは、そもそも指示が複雑になっていることもあります。たとえば「カラー帽子を持ってきてごらん」と指示したとき、そこには「①いまやっていることを辞めて」「②ロッカーまで行って」「③カラー帽子を掴み、先生のところまで戻る」と3つぐらいの指示が含まれているんです。それでは子どもに意図が伝わらないので、なるべく指示を噛み砕き、一つひとつ説明することが大事だと思います。 りっきー:モンテッソーリ教育だと、動作と言葉を一緒にしないことが大事だとされています。たとえばペンを動かしながら「こういう風に書いてね」と言っても、伝わらない。なので、まずはペンで書く動作をゆっくりと分析して見せてから、「こうやって書くよ」と言葉を添える。子どもにはそれくらい丁寧に見せて示すことが必要ですね。また、小嶋先生のお話と共通しますが、長男になにかお願いするときは「いまから3つのことを言います」と宣言しています。最初に「これから何が起こるのか伝える」ことで、終わりが見えない不安を無くせるからです。
悩み実例③子どもに伝わる「褒め方」「叱り方」
小嶋:褒め方のポイントは「とにかく驚く」ことです。「うわ~すごいね!」「そんなことできるの!?」と驚いてあげることが、子どもにとっては最高にうれしい。もう一つが、「褒めを積み重ねる」こと。言葉はやはり消えてしまうものなので、たとえば褒められるようなことをしたときにシールを貼ってあげるなど、視覚的に「積み重なっている」ことがわかるようにしてあげるといいですね。
りっきー:モンテッソーリ教育だと、子どもが集中しているときにそれを妨げてはいけないとされているので、つい褒めたくなってもぐっと堪えて、子どもの手が止まったときに「最後までできたね」と言ってあげるとさらにいいかもしれません。前回と比較して、「この間よりピッタリ貼れたね」とか、具体的にその子の成長したポイントを盛り込んで褒めるのもポイントのひとつだと思います。 小嶋:叱り方については、後腐れないことを意識してほしいですね。「これはダメだよ」と叱った後には、「じゃあおやつを食べようか」とすぐに切り替える。叱らなければいけない瞬間は多々あると思いますが、さっぱり叱ることです。 りっきー:たしかに。あとは声がけの仕方も工夫できますよね。「走っちゃダメ!」と言うよりも、「ここでは歩こうね」と言ってあげる。もちろん咄嗟のときにはそこまで意識できないんですけど、なるべく否定語ではなく、「やってほしい行動」を促すような言い方を意識すると、子どもの自己肯定感も下がらないのではないかと思います。