現在「派遣」ですが、派遣先から「社員にならないか」と誘われました。時給は今とほぼ同じですが、社員になるべきですか?
派遣社員として働いていて、派遣先の企業から「社員にならないか」と誘われることもあるかもしれません。そのような話に応じた場合「契約違反に該当しないのか?」と不安に思われる方もいると思います。 契約違反にはならないにしても、労働者にとってのリスクはないのか、確認しておいたほうがよいでしょう。 本記事では、派遣先に誘われて社員になることの問題性について、社員になった場合に考えられるデメリットとともにご紹介します。 ▼扶養内で働いてるけど、労働時間が「週20時間」を越えてしまった!「社会保険」に加入する必要はある?
派遣先に誘われて社員になるのは契約違反?
労働者派遣法第33条では「派遣労働者に係る雇用制限の禁止」について定めており「派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者又は派遣労働者として雇用しようとする労働者との間で、正当な理由がなく、その者に係る派遣先である者又は派遣先となることとなる者に当該派遣元事業主との雇用関係の終了後雇用されることを禁ずる旨の契約を締結してはならない」としています。 派遣会社は派遣社員との間に、例として「退職後6ヶ月は派遣先に雇用されてはならない」などの契約を締結することはできないということです。 派遣社員の雇用を制限することは日本国憲法第22条で保障されている「労働者の職業選択の自由」を制限するものであり、労働権を侵害することになるおそれがあります。 つまり、契約期間が終了してから派遣先企業に誘われて社員になることは、契約違反には該当しないと考えられます。
派遣契約期間中に社員になることは問題なのか?
法律で制限されているのは「派遣期間終了後に雇用されることを禁ずる旨の契約を締結すること」であり、派遣契約期間中の引き抜き行為については派遣元と派遣先との間で禁止する契約になっていることもあるようです。 もし、派遣先企業が派遣契約期間中の直接雇用を希望した場合は「紹介予定派遣」への切り替えが行われることもあります。 「紹介予定派遣」とは、派遣元事業主が労働者派遣の開始前または開始後に、派遣労働者および派遣先に対して職業紹介を行う、もしくは行うことを予定するものです。 派遣契約期間中に派遣先から社員になるよう打診された場合は、この点を確認しておくことをおすすめします。