2023年サッカー女子W杯日本招致断念の舞台裏
ブラジルの撤退に伴い、南米票はコロンビアに一本化される。加えて、ここにきてASEAN(東南アジア諸国連合)サッカー連盟が、FIFAの区分上ではアジアサッカー連盟(AFC)所属となるオーストラリア/ニュージーランドの支持を表明。オセアニア票も共催に投じられるなかで、ヨーロッパや北中米カリブ海、アフリカ大陸票の具体的な動きを問われた田嶋会長は、こんな動きがあったことを明かした。 「他の地域の方がこうだと私の口から申し上げるのは、ちょっと控えさせてください。ただ、アジアがひとつになった方が望ましいと思っている方は、多くいらっしゃいました」 今月10日にはFIFAが、投票に大きな影響を与える立候補国の評価報告書を公表した。オーストラリアとニュージーランドの共催案は、「商業的に最も有利な招致案」として5点満点中4.1点の「Very Good」を獲得。日本の招致案は「会場とインフラの質が高い」という評価を得たものの、3.9点の「Good」で及ばなかった。コロンビアが2.8点だったことを含めて、田嶋会長はFIFAの評価をこう受け止める。 「0.2点差とはいえ『Very Good』と『Good』に分かれていた部分も含めると、いかんともし難い部分がありました。プレゼンテーションを含めたさまざまな説明で巻き返すことも考えましたが、短い期間のなかで2つの国際大会を開催することに対しての、ネガティブな評価を覆すには至らないと判断しました。同じアジアから2つの立候補国が出ることの難しさも感じました」 こうした状況を受けて、JFAは今月に入って8日の臨時常務理事会、15日の常務理事会、18日の理事会で女子ワールドカップ立候補への是非を協議。招致活動をけん引してきた田嶋会長の心境も撤退から再考、そして最終的には招致委員会に諮るべきだと目まぐるしく変化した。 迎えた19日の招致委員会では、さまざまな意見が出たなかで「玉砕してもいいのではないか」と、例え敗れてもFIFAカウンシルの投票へ臨むべきだという声もあがった。本音をぶつけ合う議論を尽くした末に辞退が承認された最大の理由に関して、田嶋会長は再び女子ワールドカップ招致に動く際に大きな力を得られる可能性にも触れながら、会見のなかでこう言及している。