8強進出見えた?!なぜ東京五輪で男子バレー日本代表はカナダに逆転勝利し連勝できたのか…「ゾーンに入っていた」
「2セット目以降、リベロの山本選手を中心に守りが安定したことが大きい。カナダは途中から強いサーブを打ってきたが3セット目以降も強いサーブに対してもレセプションが崩れず最後までペースを守れた。ブロックの高さでは劣っているが、トータル的にディフェンスが機能していた。特にフロアディフェンスがよく、ブロックでのワンタッチ、レシーブから攻撃へのトランジション(切り替え)の精度が高かった」 植田氏は軸となるレセプションにも意識の共有が見えたという。 「相手のサーバーに合わせ守備隊形もデータに応じて変化させていたが、“Aパス”と呼ばれるセッターに選択肢が増える正確なパスを返すことにこだわるのではなく、とにかく“コートの中へ高く返す”ということを徹底していた。高橋選手はワンタッチボールへの反応が素晴らしく、石川選手は、相手のオポジットのバーノンエバンズを戦術的にコミット(マーク)し、少しゆっくりブロックに飛ぶような工夫もしていた。西田選手、高橋選手のアウトサイドの3人が攻守に頑張ったと思う」 守備と攻撃が鮮やかに連携した。 終わってみれば、スパイクは日本が121本中67本を決め、カナダの106本中53本を上回った。植田氏は、攻撃面では、「石川選手が第2セットから要所で使ったパイプ、西田選手のライン側に打つストレート。この安定感がカナダに比べて優っていた。特に西田選手の出来が素晴らしかった」と評価した。 西田は、開幕前に足首を痛め、そのコンディションが不安視されていた。 「久しぶりに西田選手らしいジャンプが戻ってきた。186センチと高さのない西田選手は、それをカバーする驚異的なジャンプ力が特徴だが、ベネズエラ戦では高い打点をキープできていなかった。この日は空中でブロッカーの動きを見て強打していた。途中、ブロックの高さも出ていた。カナダのブロックの対応が遅れ、形が崩れると、手のつけられない決定力があった。ただ、今後、相手のレベルが上がってくるとブロックが揃い、データもあぶり出されてくる。西田選手と石川選手がどうデータの裏をかき、駆け引きで上回っていくか。課題でもあり楽しみでもある」