8強進出見えた?!なぜ東京五輪で男子バレー日本代表はカナダに逆転勝利し連勝できたのか…「ゾーンに入っていた」
サーブのミスは日本が22本でカナダが15本。互いにそこは安定せず、決してサーブで圧倒したわけではなかったが、植田氏は、「チームでやろうとしているサーブ戦術が明確に見えた」という。 「戦術面を担当するブランコーチの指示だろうがデータから相手のウィークポイントを狙うのはもちろん、6人にそれぞれ役割を持たせていた。石川選手、西田選手は、4割はミスしていいので強いサーブを打ち、あとの4人はジャンプフローターで確実に入れる。ただ前を狙うなど嫌なサーブを打ち、チームのトータルでサーブのミス率を減らそうと考えているのだと思う」 植田氏がもうひとつカナダ戦の勝因として指摘するのがチームリーダーの存在だ。 「日本は準々決勝に進むために絶対に負けられない試合。カナダもイタリア戦を落としてしかもアウェーのプレッシャーがある試合。その中で差が出たのはキャプテンシーを持ってチームをまとめることのできる選手が“いる”“いない”の差だろう。日本は石川キャプテンと若い西田選手が柱となった。彼らがチームを引っ張り、セッターの関田選手が冷静なトス回しでチームを落ち着かせてまとめた。一方のカナダの22歳のオポジットは戸惑い力を発揮することができていなかった。監督の息子のホーグを最初から起用しないなど日本とのマッチアップも機能していなかった」 快勝の中に課題も見えた。 「私がカナダの監督ならもっと真ん中の攻撃を使ったと思う。クイックのディフェンスには課題が残った。それと第3セットまで山内選手、小野寺選手のミドルアタッカー2人のサーブが悪すぎた。ここは修正しなければならない点」と植田氏。 さて気になるのが今後の展望である。 12か国が参加している男女バレーは6か国ずつ2つの組に分けられ、それぞれ総当たり戦を行い、上位4か国がトーナメント方式の準々決勝に進出する。1次リーグを突破するためには、最低2勝が必要で、まずは第一関門を突破したが、2018年の世界選手権優勝のポーランドがイランに敗れるなどの波乱も起きていて準々決勝進出を確実なものにするには、あと1勝が必要になる。だが、残る3試合はイタリア、ポーランド、イランと格上ばかり。植田氏は、今後の展開と1次リーグ突破の可能性をこう見ている。 「まだカナダの今後も含めてもつれる可能性もある。ここからの3試合は、いずれも格上だが、準々決勝をいい組み合わせにするためには一つでも多く勝っておかねばならない。ポーランドには元キューバのウィルフレド・レオンら世界トップレベルのプレーヤーが揃っており、イタリアもレベルが相当高い。だが、今日の試合で勢いはついた。カナダ戦のバレーをベースに戦うことができれば、いい試合はできる。イタリア、ポーランドも真ん中(ミドル)から攻めてくるだろう。ワンタッチさえ難しいかもしれないが、西田選手、石川選手のサーブは世界トップレベル。チャレンジジャーの気持ちで戦って欲しい」 「無観客」で声援というアドバンテージはないが、植田氏はホームの有利さもあるという。 「疲労が重なってくると故障の危険も出てくるので1日おきのゲーム間隔の中でコンディションを整えることが重要。ただホームということで、試合時間がポーランド戦以外は、すべて19時40分に設定されていて日本のように運動量で勝負するチームが、準備のサイクルを作ることができるのは大きい」 今後は28日のイタリア戦、30日のポーランド戦と続き、8月1日の1次リーグ最終戦にアジアのライバルのイランを迎える。 「自分たちがやることは変わらない。どれだけクオリティを上げられるか。特別な意識をせず試合にむけていいコンディションで合わせていけたら」 エースの西田は力強く誓った。