大谷翔平と対戦経験のある元高校球児ボクサー今井が挑む新人王
異色のボクサーが3日、後楽園ホールで開催される東日本新人王に挑む。6戦5勝(4KO)1分の成績でスーパーフェザー級決勝に出場するワールドスポーツジム所属の今井健裕(24)だ。 東京の高校野球の強豪、二松学舎大付属高出身の元球児で、今オフメジャー移籍濃厚と見られている日ハムの大谷翔平との対戦経験があり、1年後輩には広島の鈴木誠也がいた。異色の転身である。 「野球でプロは無理でしたからね。格闘技も好きで大学時代にキックボクシングをはじめ、プロでやるならばボクシングだと思いワールドスポーツジムに入門しました。二松学舎の苦しい練習に耐えてきたという忍耐力や、死ぬほど走りこんだ下半身はボクシングに生きていると思います。野球の肩の強さはパンチにつながるとも聞きます。遠投は110メートル投げていました」 小学校4年の頃から野球を始めて川口リトル時代には、世界大会で準優勝している。当時のチームメイトには、日ハムで売り出し中の松本剛内野手がいる。今井は、名門の二松学舎へ進み、その強豪校の中で、1年の秋からレギュラーでプレーしていた。二塁、三塁を守り、主に2番、7番を打ったが、そのバッティングはエンドランなどの小技だけでなく一発もあり通算15本塁打。強肩、強打の万能型のプレーヤーだった。 2年の秋には東北に遠征して練習試合ではあるが、当時、花巻東高1年の大谷翔平と対戦している。 「めちゃくちゃ速かったです。まだ150キロも出ていないと思うんですけど、なんとかバットに当たりました。まあ、この選手は、プロにいくだろうなとは感じましたが、まさか二刀流でメジャーへ行くような、あそこまでの凄い選手になるとは」 結果はファーストゴロと四球。あの大谷から四球を選んだだけでもたいしたものだが、試合も1-0で勝ったという。残念ながら甲子園出場経験はない。最後の夏は、東東京大会準決勝の関東第一高戦で、2年ながらエースだった鈴木誠也が、肉離れのケガをした状態のまま投げて満塁本塁打を浴びるなど完敗した。 「誠也は泣いていました。僕ら先輩に対して申し訳ないという気持ちがあったのかもしれません。気持ちが強く、ズバぬけた身体能力をもっている選手でした。今年もケガでCSに出れず悔しい思いをしたんだと思います。奴を励ます意味でも、俺も頑張っているっていうところを見せたいですよね」 今井は卒業後、流通経済大のスポーツ健康科学部に進むが、野球は続けなかった。 「燃え尽きました。その先、プロを目指すなら続けましたが、それが無理で大学で野球が終わるなら続ける意味がないと」 将来は、体育の教師になろうと大学で資格単位だけはとったが、大学2年からワールドスポーツへ入門することになる。 「小学生のころ、ガチンコファイトクラブに影響を受けていました。大学のときは、ちょうど、井上尚弥選手が出てきたところで刺激を受けました」 次なる夢をグラウンドからリングに求めた。 デビュー当時は、まだ学生ボクサーだったが、体育教師もあきらめ、実家の仕事の手伝いをしながらプロボクサーとして生きる道を選んだ。