北参道のフレンチの名店「シンシア」のシェフがひらめきを求めて通う、家族も喜ぶ行きつけとは?
年に1回、食べログユーザーからの投票で決まる「The Tabelog Award」。全国に星の数ほどある飲食店から選び抜かれる受賞店の魅力を伝えるとともに、店主の行きつけの店をご紹介。ストーリー性のある料理とゲストを楽しませるもてなしに定評があるフレンチレストラン「シンシア」のシェフが選ぶ名店をご紹介。
〈一流の行きつけ〉フレンチ「シンシア」北参道
高評価を獲得した全国の店の中から、さらに食べログユーザーたちの投票によって決定する「The Tabelog Award」。どの受賞店も食通たちの熱い支持によって選ばれただけに、甲乙付け難い店ばかりだ。 当連載では一流店のエッセンスを感じてもらうべく、受賞店の魅力やこだわりとあわせて店主が通う行きつけの店を紹介する。 今回は2017年を皮切りに「The Tabelog Award」でSilver、Bronzeを毎年受賞、「食べログ フレンチ TOKYO 百名店」 にも選出されている「シンシア」。オーナーシェフを務める石井 真介氏に話を伺った。
料理には“人を喜ばせる力”がある
地下鉄北参道駅から徒歩3分、千駄ヶ谷の閑静な住宅街の一角、入口にツタが絡まる建物の地下1階に「シンシア」はある。地下ではあるが空が開け自然光が入るテラスがあり、開放感あふれる造り。この物件に出合うまで1年もの時間を要したそうだが、石井氏自身この場所がとても気に入っているという。
ここに石井氏が「シンシア」を開いたのは2016年。前年まで松濤にあった伝説のフレンチ「レストラン バカール」で腕を振るっていたが、店をともに立ち上げたソムリエの病を機に惜しまれつつ閉店。新たな思いで開いた「シンシア(sincere)」には「誠実な」「偽りのない」などの意味があり、石井氏の思いがそこに込められている。
実家が美容院という環境で育った石井氏。料理人になるきっかけをくれたのは母という。
「小学生時代、忙しい中でも母が僕の誕生日にスポンジ生地を焼いてくれ、誕生日会に呼んだ友人とホイップやイチゴで飾り、ケーキを完成させたのはいい思い出です。多忙な母に代わり私が料理を作ると、家族が喜んでくれるのがうれしくて。料理の本もたくさんあったので、それを見て自分でシュークリームを焼いたときは、家にあるもので作れるんだと料理のロジックに興味を抱きました」