動画分析もAIで自動化する時代に、NVIDIAのAI Blueprintが示す動画分析AIエージェントの可能性
動画分析AIのユースケース:スポーツハイライト動画の自動生成など、スポーツ分野で高い需要
現状を見る限り、映像分析AIの実用化はまずスポーツ分野で広がる可能性が高い。この分野で特に注目されているのが、NVIDIAの支援を受けるインドのAIスタートアップVideoVerseだ。 VideoVerseは、映像理解、自然言語理解、音声処理、物体検出といった複数の技術を組み合わせることで、スポーツの重要な瞬間を自動的に抽出する仕組みを構築。スポーツハイライト作成の自動化ソリューションをプロ/アマのスポーツ団体に提供している。 同社のマルチモーダルモデルは、選手の動き、音声、得点表示などの情報を総合的に分析。たとえば、クリケットでは「フォー」「シックス」「ウィケット」、バスケットボールでは1~3ポイントシュート、ダンク、レイアップなど、各スポーツ固有の複雑なイベントを識別することが可能。約5万件のサンプルを用いたトレーニングにより、最大90%の認識精度を達成したという。 スポーツ関連では、ニューヨーク拠点の企業GameChangerも興味深い取り組みを見せている。同社は、バスケットボールとバレーボール向けに、AI駆動の映像分析ツール「フィルムルーム」をリリース。このツールは、試合映像から無駄な時間を自動的に除去し、指導に活用できる重要なプレーだけを抽出できる。コーチングの大幅な効率化が可能になる見込みだ。 一方、セキュリティ分野でも映像分析AIの研究開発が進む。バージニア大学工学応用科学部の研究チームは、人間の行動を高精度に検出できるAIシステム「SMAST」を開発。同システムは、シーンの重要な部分に焦点を当てる「マルチ特徴選択的注意モデル」と、時間経過に伴う動きを追跡する「モーション対応2D位置エンコーディングアルゴリズム」を組み合わせることで、リアルタイムで複雑な行動を認識できるようになった。 映像分析AIは、スポーツのパフォーマンス分析からセキュリティまで、幅広い分野で実用化が進みつつある。AI Blueprintのような開発支援ツールの登場により、今後さらに多くのユースケースが登場する見込みだ。
文:細谷元(Livit)