極小/半透明の物も測定 ロボットの「目」を進化させるAIカメラ
京セラは2024年11月11日、これまで困難だった極小サイズの物体や半透明の物体、光沢のある物体の距離と大きさを計測できる「AI測距カメラ」を発表した。ロボットアームに搭載することで、これまで人力での作業が欠かせなかった製造工程を自動化できるという。 AI測距カメラの特徴[クリックで拡大] 出所:京セラ 同月に実施した記者説明会では、形状やサイズが異なる部品の中から指定のものを選んで抜き取るデモを紹介した。
製造工程自動化の障壁となるロボットの「目」
現在、労働力不足への対応としてAIやロボットによる製造現場の自動化が進んでいるが、まだ自動化できず人の手で担われている領域もある。その一例が極小サイズの物体や半透明の物体、光沢のある物体の把持や移動だ。こうした作業を行うためのロボットアームの「指先」の精度は向上しているが、物体の大きさやそこまでの距離を計測する「目」にあたるカメラの性能が十分でなかったという。 京セラが開発したのは、こうした従来対応困難だった対象物についても正確に距離や大きさを計測できるAI測距カメラだ。独自の光学技術で0.1mの距離で100μm単位という高精度な測距を可能にしたほか、AIアルゴリズムによって半透明物体や光沢のある物体にも対応した。
独自のステレオカメラ構成で高精度測距を実現
100μm単位という高精度測距を実現したのは、独自のステレオカメラ構成だ。ステレオカメラは2つのカメラを用いて対象物までの距離を測定するものだが、カメラ筐体への干渉を避けるため一定のレンズ間距離(基線長)を保つ必要がある。一方のカメラにしか映らないほどの近距離では測距できないため、従来は近距離の計測ができないという難点があった。 今回の新製品では、2つのレンズと1つのイメージセンサーを組み合わせる独自の構成を採用したことで、基線長が狭まって近距離での計測が実現した。これによって極小物体の大きさも正確に計測できるようになった。 なお、この構成は小型/軽量化にも貢献するという。同製品のサイズは29×29×43mm、重さは65グラムだ。