トップダウンか、ボトムアップか、その両方か
風通しがよく、リーダーがみんなの意見を聞き、それを反映することもある。チームメンバーの満足度が高く、幸せそうに働いている。周りからもいつも雰囲気のいいチームだね、と言われリーダーは鼻高々に見える。 そんなチームが突然、解散になった。 なぜか? 業績が悪かったのだ。同じサービスを扱っている隣の部署は急成長しているのに比べ、このチームの目標達成率は90~95%を漂っていた。 このことに危機感がないわけではないが、そのチームにはまだどこかで「120%達成していた去年の自分たち」の自信が残っている。また、居心地のいいチームの雰囲気が、未達成に対する危機感からの逃げ道になっていた。 さて、あなたはトップダウンよりのリーダーだろうか? ボトムアップよりのリーダーだろうか? この物語のリーダーはボトムアップ型のリーダーだった。広く意見を集め、チームの知恵の集大成を形にすることにより業績を上げてきた。多くのリーダーには自分なりの型があり、それで成功しているわけだが、上記の例は、一つのスタイルだけでやっていくのは難しい時代になったことを示すよい例だ。 市況や世代感の変化、新しいテクノロジーの登場によって、どんなビジネスも不意に窮地に立たされることがある。AIにより多くの仕事が生まれ、なくなりもする。政権交代により方向性の転換を求められることもある。変化し続けるビジネス環境の中でリーダーがより意識すべきなのが、「相反する思考の行き来」である。 ビジネスにおける相反する思考とは、例えば、下記のようなものがある。 ・トップダウンとボトムアップ ・本社での強い意思決定と地方拠点での広い裁量 ・目の前の業務と未来志向の取り組み ・自由なカルチャーとルールの多い環境 ビジネスは状況に応じて、必要な思考が異なる。本社の意思決定に従い着実に業績を上げてきたなか、「みんなの意見を聞きたい、自由に意見をあげてくれ!」という号令がかかったらどうするだろうか。目の前の顧客やマーケットに向き合ってるときに、「明日から隣町のマーケットで新規事業を立ち上げてくれ」となったらどうするだろうか。