トップダウンか、ボトムアップか、その両方か
方針とその背景と展望を共有する
あなたがCEOであれ、営業部長であれ、エンジニアマネジャーであれ、この変化する環境で重要なのは、次の3つのアクションだ。 1. 意図をもって両極の思考を行き来する 2. 行き来することに意味があることをチームに示す 3. 最終的には、行き来できるアジリティをチームの武器にすること 例えば、地方拠点の裁量が強く業績が伸びていた企業。目の前の顧客に向き合い、それにあったサービスを展開してきたが、ふと振り返ってみると、サービス形態が多様化し、その管理コストが膨大になっていた。ここでリーダーは、本社の意思決定モードに切り替え、重複コストを洗い出し、業務の効率化と定量化を進めていく必要がある。 よくある話だが、このタイミングでおそらく担当リーダーは変更となる。今までの思考では新しいモードに切り替われないからだ。ただ、もしリーダー自身が両方の視点を持ち、必要なモードに切り替えられたらどうだろうか。 目標達成率が90%のときは、トップダウンで一人一人の営業力を向上させて、数字を一定目標まで上げる。クリアしたら、少しづつボトムアップ要素を組み込み、みんなの意見を聞ける時間をつくる。そこから新しいアイデアを引き出し、新しい事業の種を見つけていく、というシナリオがあるといい。 自分の方針だけではなく、その意図と背景、さらに今後どんな風に変わっていく可能性があるのかまで示せれば、チームはより機能しやすくなる。そしてリーダーのみならず、メンバーも「相反する思考の行き来」を経験しながら成長していくことができる。 そのために、リーダーは自分たちが成長ステージや競争環境のなかでどの位置にいるのか、どこを目指すのかということを常に冷静に、俯瞰的に見ておく必要がある。そしてその時々に視点を変え、それをチームとも共有していくことが求められる。
西野雄介