パートタイマーが社会保険料の天引きを避けるには、「106万円の壁」と「130万円の壁」のどちらを優先するべき?
ただし、実労働時間が2カ月連続で週20時間以上となり、その後も引き続き週20時間以上見込まれる場合には、3カ月目からは社会保険に加入することになっています。一時的な残業であれば問題ありませんが、恒常的に労働時間が長くなりそうなときには注意が必要です。 社会保険の加入を避けたいという人の中には、夫が会社員や公務員で、妻がその扶養に入ってパート・アルバイトをしているようなケースもよくあります。 ここで注意したいのが、社会保険の加入要件と、扶養に入れるかどうかの要件は違うことです。
社会保険の加入要件は収入面でいうと年収106万円相当が基準になります。一方、扶養に入れる家族(扶養家族)の収入要件は年収130万円までとされています(「年収130万円の壁」とも呼ばれます)。 会社員や公務員の配偶者は、配偶者自身の年収が130万円未満であれば社会保険の扶養に入ることができます。扶養に入っていると、自身で保険料を負担することなく健康保険に加入でき、老後には国民年金部分の老齢基礎年金を受け取れます。
ですから扶養に入りながらパートをする人は稼ぎすぎて扶養から外れることがないよう、「年収130万円の壁」を気にするケースがあります。 しかし、扶養家族のパート・アルバイト先の従業員数が51人以上で、労働時間などの要件にも該当すれば、「130万円の壁」よりも「106万円の壁」が優先されます。たとえ年収が130万円未満でも、パート・アルバイト先で社会保険に加入し、扶養からは抜けなければなりません。 なお「106万円の壁」と「130万円の壁」では、収入要件の判定に含まれる収入の範囲が異なることも要注意です。
社会保険の加入要件で基準となる収入は、前述のように所定内賃金で、残業代や通勤手当、ボーナスなどは含まれません。 一方、扶養家族の認定では継続的に得られる収入が幅広く含まれます。詳細な判断基準は企業や個別のケースによって異なりますが、給与のほかボーナス、通勤手当、不動産賃貸収入、年金、株式の配当や預貯金の利子、雇用保険の失業給付や育児休業給付金、出産手当金なども収入としてカウントされ、年収130万円未満であるかを判定するのが一般的です(退職一時金、出産一時金、遺産相続、不動産の売却益など、継続性のない収入は含まれないことが多いようです)。