「うちの子、言葉が遅い?」焦って必死で読み聞かせたりするのはNG!“発達が気になる子”の親がまずすべきこと
言葉が話せなくても「理解している」と信じて子どもの「個」や「想い」を尊重
例えば、言語がわからない国へ行き、しゃべれないことで「この人はわかっていない」という目で見られたら、心細いしくやしいですよね。それと同じように、言葉がゆっくりの子は、物事を理解しているのに「しゃべれない=わかっていないだろう」という目で見られがちで、くやしい思いをしていると私は思っています。 「コミュニケーション=言葉のやりとり」と思われがちですが、「会話」はコミュニケーション手段のひとつに過ぎません。アイコンタクト、表情、ジェスチャーなどで子どもはママやパパに思いを表現し、一生懸命に伝えようとしているのです。そこに気がつけると、わが子のことがもっと「かわいい!」と感じるはず。会話がうまくできなくても、見て聞いて物事の理解は進んでいるのです。 「この子は、いろんなことをわかっている」というポジティブな視線で子どもを信じて接することで親子の信頼関係が生まれ、コミュニケーションを取りやすくなります。
コミュニケーションの手段はいろいろ!
注意(じ~っと見る)、アイコンタクト、表情、発声(例:あっ!あっ!)、動作(かんしゃくも動作での気持ちの表現のひとつ)、物の提示(見せる、持ってくる)、手渡し、リーチング(手を伸ばす)、指さし、会話 など 【例えば…】 ●ママ、パパを見てニコニコ笑う ●「抱っこ!」というように腕を広げて見る ●「ちょうだい!」というように、欲しい物に手を伸ばす ● 散歩中に何かを見つけて指さし、「あっ!あっ!」と言う このようなアイコンタクト、笑顔、ジェスチャー、発声が出るのは、ママ、パパのことが大好きで伝えたい想いがあふれるからなんです! かわいいですね。 参考文献/『社会的コミュニケーション発達が気になる子の育て方がわかるふれあいペアレントプログラム』(ミネルヴァ書房)
子どもの好き・興味、ニコッとする場面に言葉を伸ばすチャンスあり
ASDタイプの子の言葉やコミュニケーション力の伸ばし方というと、療育の机上レッスンをイメージするかもしれません。それだけではなく、遊び、食事、着替え、入浴、オムツ替えなど、親子で過ごす一日の生活のあらゆる場面に学びと成長のチャンスがあることを教えてくれるのが「ESDM(アーリースタートデンバーモデル)」です。ESDMは、アメリカで開発され、ASDの子のコミュニケーションや遊びのスキルを上げるエビデンスのある超早期介入法として注目されているプログラムです。 「うちの子の好きな物、興味のあることって何かな?」「笑顔になるときは?」と探して、子どもの好き・興味を共有しながら親のほうに注意を引き、人と関わる楽しさを経験させます。 基本的に“子どものリード”に従ったり調子を合わせるテクニックは、遊びだけでなく生活のいろいろな場面で取り入れられます。