アメリカの話し方教室では「あいづち」を重視する 現地の学生が通うスクールの授業内容とは?
これと間違えやすいのが同調あいづちです。共感と同調は若干異なります。共感は、相手の感情や考えを自分も理解できていることを示します。一方、同調は、相手に自ら積極的に合わせて同意を示します。 地域の集まりでIさんが「新しく引っ越してきたJさんは言い訳が多いから教えたくなくなるわ」と言ってきました。共感あいづちの場合は「そうなんですねー。(考えが一緒かどうかわからないからまず聞こう)どんなことからそう感じたんですか?」となり、同調あいづちの場合は「わかるー(私もJさんに教えたくないと思ってる)」となります。
■同調あいづちは誤解を生みやすいので注意 同調あいづちは、相手は自分と考えや感情が一緒なんだと思うため、誠実性があれば関係性は強固なものになりますが、もしあなたが実際に思っておらず、調子を合わせているだけだと誤解やトラブルが生じやすいので注意しましょう。 いずれにしても、結果的には相手の感情や考えを共有したことをあいづちで示すことになります。通常、人は自分の感情や考えを表に出す場合は用心しています。聞き手にどう思われるかわからないからです。
しかし、聞き手が共感・同調を示せば、相手の警戒心は解けて、気持ちを解放し始めます。 そのことは話し手にとっては心地よい場合が多いのです。自分の感情や考えを共有できる人がいることは嬉しいのですね。 ですから、より一層、話に熱がこもるようになります。恍惚の状態とも言えます。その結果、話しきったときにはやりきったという充実感を覚えます。「あなたに話をしてよかった」と思うのです。 結局、多くはコミュニケーションを取るのは自分が幸福感を得るためなのです。話をするのは聞き手に共感・同調してほしいからです。ですから共感・同調あいづちを打つことができれば、話し手からは好感を持たれるようになります。
ただし、同調については過度にアピールしてしまうと、相手に「あ、自分に好かれるために無理して合わせようとしているな」と見透かされてしまう可能性があるので、過度な同調で媚びているように感じさせてしまわないように注意が必要です。 たとえば、「私は『グリーンブック』という映画が好きなんです」と言ったときに、相手が「はいはい、私もその映画は大好きです!」と答えたら、感性が合うと思い話を続けたくなるでしょう。そして「白人の主人公が黒人ピアニストに心を開いていくストーリーがいいですよね」と言うと「そうそう! ストーリーが良すぎ!」と答えてくれたので、共感されていると思い嬉しくなり、さらに「あと、白人の主人公が黒人ピアニストに心を開いていく様子を演じた俳優の演技力にも感動したんだよね」と言うと「わかるわかる! 超演技派だと思ったー!」と続きました。