こんなに人に恵まれたバンドがダセえわけがない――メジャーで一度はクビにされても今や武道館3DAYS、SUPER BEAVERが語る人との縁 #なぜ話題
ロックバンド・SUPER BEAVERは、本日4月1日をもって結成20周年イヤーへと突入した。ライブ会場には親子連れを含む、幅広い年齢層の観客が訪れるまでになり、国民的バンドへの階段を駆け上がっている最中だ。しかし、一度はメジャーとの契約が切れ、メンバーがバイトをしながらバンド活動をする状況も経験している。それでも再起に成功した鍵は、周囲の「人」にあるという。(取材・文:阿刀"DA"大志/撮影:河邉有実莉/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)
最初のメジャー、「あれはいい経験だった」とは死ぬまで言わない
2023年から2024年にかけて、SUPER BEAVERは日本武道館3DAYS、さいたまスーパーアリーナ2DAYSを含む、10都市21公演に及ぶホール&アリーナツアーを全箇所ソールドアウトで終えた。 SUPER BEAVERが生まれたのは2005年、彼らが高校生の頃。上杉研太(ベース)が同じクラスの渋谷龍太(ボーカル)と1学年下の柳沢亮太(ギター)に声をかけ、柳沢が幼なじみの藤原広明(ドラム)を誘ったことで結成された。最初からプロ志向が強かった彼らは、2009年に早くもメジャーデビューを果たし、前途洋々……のはずだったが、彼らの前にメジャーの壁が立ちふさがった。曲を書けども書けども「書き直してこい」と担当スタッフから突き返される。しまいには「おまえの日々の生き方がつまんないんじゃないの?」「俺が言ってることだけ聞け!」と罵倒される。当時、彼らはまだハタチそこそこの若者。上杉は当時をこう振り返る。
「『音楽業界ってこうやってできてるんだ。とりあえず、自分たちの船をなんとか沈没させないようにしなきゃ……』って考えるようになってきて、自分たちの音楽的価値観……ライブがどうとか、曲がどうとか、スタイルがどうとか、それどころの騒ぎじゃなくて、当時のスタッフを納得させないと俺たちの明日はない、みたいな毎日でした」 インディーズで調子のよかったバンドがメジャーデビューした途端に下降線をたどるというのは珍しくない。SUPER BEAVERの場合もそうかと思いきや、明らかに違った。少なくとも「バンドによくある話」で済むものではなかった。出会う人を間違えたのである。運がなかったとしか言いようがない。今となっては4人とも笑って話しているが、「でも、記事にはできないことがほとんどだっていうことだけは書いてほしいな。『あれはいい経験だった』とは死ぬまで言わないです」と真顔で渋谷は言う。そして、さらにこう付け加えた。「でも、そのおかげでメジャーっていう存在に対して冷めた目で見るようになりましたね」。必ずしも「メジャー=すごい」ではないということを早い段階で見破ったのだ。