こんなに人に恵まれたバンドがダセえわけがない――メジャーで一度はクビにされても今や武道館3DAYS、SUPER BEAVERが語る人との縁 #なぜ話題
僕らは何も特別なことはやってない
そして2020年、彼らは再び自分たちのことを「好きだ」と言ってくれる人たちと出会い、メジャー再契約に至った。それ以降、彼らの人気は日増しに上昇しているが、浮かれる様子はない。それは一度大きな負けを経験していることによるものかと思っていたが、それは少し違うようだ。 「大きな負けをたくさん知ってるし、したくもないアルバイトをしなきゃいけなかった時間を過ごしていたから、そもそも“浮足立てなく”なっちゃってる。『いや、まだ地に足つけて頑張んなきゃいけない!』って無理してるわけじゃないんですよ」(渋谷) 「ただ、これも誤解されるんですけど、売れたいですけどね(笑)。バズれるもんならいくらでもバズりたいです。でも、そのために自分たちの何かを曲げようなんてことは思わない。自分たちがカッコいいと思ったことをカッコいいまま届けたいし、そうやって売れたいだけなんで」(柳沢)
しかし、SUPER BEAVERは多くのアーティストと同じように愚直に音源を売り、SNSでのバズにも頼らず、一本一本ライブを重ねてきているだけなのに、今なぜ大きな結果を残せているのだろうか。 「ただ単純に、みんながそれをやってないからだと思います。自分たちの基盤を持ちながら軸をぶらさずに活動を続けて、なぜこういうことが起きたのか考えることができて、感謝を向ける先を見失わずにいることができれば、僕らと同じスタイルで長く音楽を続けるのは難しいことじゃないと思ってます。もちろん、それは姿勢の問題であって、柳沢が作る曲や4人でやるライブ、個人で表に出ていくこと一つひとつもものすごく大事ですけど、僕らは何も特別なことはやってないと思います」(渋谷) 様々な経験を経てたどり着いた2024年、彼らは『音楽』というアルバムを生み出した。これはSUPER BEAVERというバンドの現在地を過不足なく示しながらも、新しいサウンドに果敢にチャレンジをすることでさらに前進していこうという気概が感じられる内容になっている。 「このアルバムに入っている『小さな革命』という曲をつくっていて、<大きな世界は変わらないとしたって>という言葉が浮かんだときに、『……あれ? たしかにそうだよな。俺たちは何かをひっくり返してやろうと思って音楽をやってるわけじゃねえよな』って思ったところから<音楽>というワードが出てきたんですよ。今回話をさせてもらったように、過去のぐちゃっとした気持ちも経た上で『音楽とは何か?』ということなんです。だから、ともすると集大成っぽく見えると思うんですけど、SUPER BEAVERが今後やっていく一つひとつが僕らの活動スタンスそのものであり、音楽であり、ライブであるっていうことに帰結していくと思うんです」(柳沢)