日ハム大谷のWBC投手辞退で阪神・藤浪が侍ジャパン先発第4の男に急浮上
日ハムの大谷翔平がWBCでの投手出場辞退を表明したことで、侍ジャパンは、ピッチングスタッフの再編を余儀なくされることになった。投手登録「13人以上」の大会規約があるため、大谷が野手起用オンリーで代表に残っても、投手の代役を一人選出する必要があり、またWBCを戦うために4人必要な先発ローテーションの抜けた穴を誰で埋めるのかという問題が出てきた。 そこで第4の先発候補として浮上してきたのが、阪神の藤浪晋太郎だ。 侍ジャパンの権藤博投手コーチが一押しの右腕で、小久保監督も代表会見で「ボールの力は武器になる。強化試合ではストレートでホームランを打たれたけれど、その後はカットボールを織り交ぜながら抑えた」と召集理由を語っていた。 小久保監督は、WBCを戦う先発候補は4人と明言。当初、大谷、巨人の菅野智之、楽天の則本昴大、ロッテの石川歩の名前を挙げて、第1ラウンドの開幕となる3月7日のキューバ戦は大谷、8日の豪州戦は菅野、10日の中国戦は石川、そして第2ラウンドの初戦となる3月12日の試合に則本を当てるWBCローテーションが想定されていた。だが大谷がいなくなったことで、代役召集として誰かを呼ぶにしても、それぞれの予定先発順位が繰り上がることになる。 開幕のキューバ戦は菅野、続く豪州戦は則本と想定され、先発3番目の評価である石川が第2ラウンドの初戦に回されるのなら、空いた3月10日の中国戦には、当初第2先発候補だった藤浪が、先発起用される可能性が出てきたのだ。 まだ発展途上の中国のレベルならば、小細工のできる投手よりも、小久保監督の評価した藤浪の150キロを超える球威が脅威になることは間違いない。特に外一辺倒の配球になりがちな国際試合において、右打者のインサイドへ食い込んでいく藤浪のボールの角度は有効だろう。しかも、立ち上がりに不安がある藤浪は、マウンドに上がる準備も含めて不慣れな中継ぎ起用よりも、先発起用にこそ、その持ち味が生きる。 第2先発候補には、ソフトバンクの千賀、日ハムの増井、西武の牧田がいるが、小久保監督はいずれもロング&ショートでフル活動させる考えでいるため、藤浪に白羽の矢が立つ可能性が高い。 また第1ラウンドの中国戦さえ藤浪でしのげば、第2ラウンドの3試合と、準決勝、決勝は、菅野、則本、石川の3人のローテーションで回すことが十分に可能で、藤浪に過剰なプレッシャーをかけることもない。 2月6日が登録締め切りの代役召集として可能性があるのは、昨秋の強化試合に参加した広島のエース、野村祐輔、巨人の左腕、田口麗斗あたりだろうが、野村はすべてソロだったが、メキシコ戦で3本のアーチを浴び、田口もオランダ戦で3ランを浴び、暴投を2つやらかすなどWBC球への対応が不安視されていた。そう考えると、藤浪の先発可能性がグンと上がる。 ただ不安なのは、昨年7勝11敗、防御率3.25に留まってしまった最大の理由のひとつであるコントロールと立ち上がり。65球という球数制限がある中で、どれだけイニング数を伸ばすことができるのか、という心配もある。 しかし、この日、沖縄・宜野座でのキャンプ初日のブルペンで藤浪は、見違えるような姿を披露した。