日ハム大谷のWBC投手辞退で阪神・藤浪が侍ジャパン先発第4の男に急浮上
WBC球を使った約70球ほどのピッチングでは、全球種を投げたが、力みが消え、最初にセットするグラブの位置を胸と顔の間くらいまで高くしているためテイクバックへの移行がスムースだった。一番“力む”ポイントだったテイクバックで、うまく脱力の瞬間を作ることができていて、球離れがよく、ボールは綺麗にアウトコースへと糸を引いた。ダルビッシュ有との合同トレで、肉体をひとまわり大きくしたことで、パワーの出力にも余裕が生まれたのかもしれない。 練習後、メディアの合同取材に応じた藤浪自身も、「バランスよく投げることを意識したが、そのバランス、直球への指のかかり、球質も良かったと思う」と、新スタイルへの感触をつかんだ様子。 思うように勝てなかった昨シーズンは、投げる度にフォームもスタイルもコロコロと変わるような試行錯誤の様子を、チェックし続けてきた他球団のスコアラーも、「楽しそうに投げていた。ここから実戦を見てみないと、どう変わったかは判断できないが、隣で投げている投手に気を配る余裕があるところからしても、調子はいいんだな、不安点なないんだなとは思えた」と、虎のエースに熱視線を送っていた。 藤浪は、WBCの大谷の投手辞退問題について「同級生ですからね。一緒にがんばりたかったけれど」と、残念さを隠さなかった。 第2先発から“先発第4の男”に役割が変わる可能性が高まっているが、そのことについては「しっかりとベストの状態にするだけです」と、冷静に受け止めていた。 同世代の藤浪が大谷辞退の穴を埋めてくれれば、夢は広がる。そのことを最も願っているのは、根回し無しに突然、聞かされた大谷辞退にショックを受けた小久保監督かもしれないが。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)