この先どうしたらいいのか…。45歳元会社員〈2人の子育て〉と〈実母の介護〉に追い詰められ家計も精神もギリギリに…激しく後悔する“過去の選択”
子どもと実母の面倒で終わる1日、貯金もみるみる減少
加藤直子さんは現在45歳。夫の正さんとは38歳の時に結婚し、40歳で長男を、43歳で長女を出産しました。 正さん(現在48歳)は中小企業の会社員。直子さんも別の会社で正社員として働いていました。直子さんは時短勤務のため給料は通常の7割程度でしたが、夫と自分の二馬力の稼ぎがあるので、生活に大きな苦労はありませんでした。 直子さんも夫も40代後半なので、子どもの無限とも思える体力に「子育てってしんどいね」といいつつも、幸せに暮らしていました。 そんなある日、仕事をする直子さんの元に1本の電話が。直子さんの父(82歳)から「妻が倒れた」と連絡が入ったのです。直子さんは急いで病院へかけつけました。結果、母(80歳)は脳卒中で、命は助かったものの身体に麻痺が残り、介護が必要な状態になりました。 高齢の父が面倒を見るのは年齢的にも体力的にも不可能です。直子さんには兄がいますが、他県に住んでいて疎遠なため、母の面倒を見ることができるのは自分しかいないと考えていました。 とはいえ、母が倒れてから数週間、母の様子を見るために会社を休んだり、遅刻・早退したりとすでに仕事に影響が出ており、仕事をしながら介護と子育てを両立することは難しいと感じました。 「小さな会社だし、私がいると会社に迷惑をかけてしまう」 それでなくても小さな子どもは風邪や体調不良になることが多く、引け目を感じていた生真面目な直子さん。上司・同僚に気を使い、結局会社を自主退職。母の住む実家に自転車で通い介護をしながら、子育てと両立することにしたのです。
直子さんの強い後悔「会社を辞めなければよかった…」
しかし、その後、母は脳梗塞から認知症も発症し、介護は想像以上に過酷に。子ども2人は、平日は保育園に預けていますが、それでも自分の時間はないも同然です。父の食事の準備も直子さんが担い、睡眠時間を削るような生活になっていきました。 さらに、金銭的な不安が大きなストレスになっていきました。直子さんは独身時代に800万円ほど貯金をしており、それを介護費用に充てるつもりでしたが、実家の介護向けリフォーム費用や介護用品の準備などで想像以上のスピードで減少。両親の年金は月15万円ほどありますが、それ以外に資産といえるものはほとんどありません。 「子どもにはこれからお金がかかるし、私たち夫婦の老後資金だって準備しなきゃいけない。この状態で新しく仕事を探すのも難しいし、いったいどうしたら……」 あのとき仕事を辞めていなければ。直子さんは途方に暮れています。 こうしたケースでは、周囲に気を使って退職をしてしまうのではなく、介護休暇や介護休業の取得、給付金などを活用することを考えるべきでしょう。離職をすれば、収入がなくなるだけでなく国民健康保険や年金の負担もすることになり、思った以上にお金が出ていくことになります。 また、公的な介護サービスもしっかり活用を。親を思うあまり「自分ができる限り面倒を見よう」と考える人もいますが、共倒れになっては元も子もありません。 子育てと介護が重なると、先にご紹介した調査のように精神的負担、家事の負担、体力的負担、仕事との両立、経済的負担といった課題が一気に押し寄せる可能性があります。 今後、約5人に1人がダブルケアに直面する時代ですから、夫婦や親と「もしものときはどうするか」を早めに話し合いをしておくとよいでしょう。また、何かあった時には職場の担当者に相談し、離職ではなく両立する方法を模索することが、これからの時代には必要だといえそうです。
THE GOLD ONLINE編集部
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