話が噛み合わない「石丸伸二推しとアンチ」「ネット民とテレビ民」…深まる世間の分断を実感したオバ記者の「人間関係も時代も変わってよし」の境地
物事の捉え方は人それぞれだからこそ、衝突を引き起こすこともある。そういった衝突は、“分断”という形で世の中に不穏な空気を作り出していく──。『女性セブン』の名物ライター“オバ記者”こと野原広子さんが、自ら感じた“分断”について綴る。
* * * いきなりだけど、最近、友達の顔ぶれが変わってないですか? 気が合って何十年もつきあっていた人との縁が、あることがキッカケでプツンと切れる。または、いままで気にならなかったことが急に気に障り出して、会う回数が減る。 私の場合、そんなことが2022年あたりから何度もあり、そして友達と呼べる人は誰もいなくなった。と思ったら、2024年に入って新たな出会いが次から次。「あ、この人、好き!」って、これは野性のカンだよね。まぁ、若かりし頃は別の野性が暴走して、「彼こそ運命の人!」と誤作動しまくったけど、老境っていうの? 色欲がなくなると、人の性分がよりクリアに見えてきて、お互いのほどよい距離感がつかめてくるから心地いいったらないの。 とまあ、わかったようなことを言えるのは、身の回りのジタバタが一段落したからでね。というのも、2024年ほど、世間の人が熱くなっていること、逆に私は熱くなったけれどほかの人は何の関心も示さなかったことが目の前で起こった年はないんだよね。 その1つが、この夏の東京都知事選挙の石丸伸二旋風だ。彼自身を快く思っている人と、思わない人に大きく分かれたんだよね。 ご存じだと思うけど、広島県安芸高田市の市長時代、石丸伸二さんは議会における長幼の序とか、女性議員を立てるという“常識”を壊し、マスコミにとことん議論を吹きかけたりして、まぁ、遠慮会釈がない。私のようにその目的をすぐに理解して“推し”になった人もいれば、「パワハラ」「対立を煽って名前を売った人」とアンチになった人もいる。なので私は、そのアンチともじっくり話してみたわけ。 いや、これほど、人と人は話せば話すほど理解できなくなるものなのか、と唖然としたことはなかったね。理由はいくつかあるけど、大きな違いは、その人と地方との距離にあると私はみた。都会っ子の中には、「観光で地方には行ったことがあるけれど、ただの田舎には行ったことがない」という人が少なからずいるのよ。都会の理屈で地方を見ているんだよね。