なぜ侍Jは韓国監督が「敗因について何も言うことはない」と認めるリベンジでプレミア12初優勝を果たせたのか?
野球の世界一を決める「プレミア12」の決勝戦が17日、東京ドームで行われ日本が韓国に5-3で逆転勝利を収めて初優勝を果たした。先発の山口(巨人)が初回に2本のアーチを浴び3失点したが、2回に山田(ヤクルト)の3ランで逆転。稲葉監督は、2回以降を6人の投手でつなぎ、8イニングを“ゼロリレー”で韓国打線の反撃を許さずに逃げ切った。なぜ日本は宿敵の韓国にリベンジを果たせたのか。
3失点山口を1イニングで交代
「あと一人」コールが「あと1球」コールに変わる。 山崎(横浜DeNA)の伝家の宝刀のシンカーに韓国リーグ首位打者、ヤン・ウィジのバットが空を切った瞬間、東京ドームを埋めた4万を超えるファン全員が一斉に声を張りあげて立ち上がった。それは壮観で感動的なフィナーレだった。 「胴上げ投手になったことがなかったので、ダルビッシュさんの映像を見て勉強してからマウンドに向かったんです」 山崎は、2009年WBC優勝時に胴上げ投手となったダルビッシュ有ばりに雄叫びを上げた。右手を上げ、両手でガッツポーズ。そこに駆け寄ってきた會澤(広島)の2人を中心に歓喜の輪ができた。死球による足指の骨折で開幕前に戦線を離脱した秋山(西武)も小走りで、その輪に加わる。 稲葉監督は両手で目頭を押さえて泣いていた。 「逆転できると信じていた。(思い浮かんだのは)選手ですよ。哲(山田)と浅村は慣れないファーストをやってくれた。外(崎)もセカンド、サード、外野までやってくれた。ピッチャーもいつもは先発の大野や山岡も慣れないポジションで投げてくれた。みんなが世界一になるために一生懸命やってくれたなと考えたとき、(涙が)こみあげてきたんです」 胴上げは8度。代表として日の丸を背負い、韓国に準決勝で敗れた4年前の「プレミア12」では打撃コーチとして屈辱を味わった稲葉監督はプレ五輪の位置付けにある重要な大会で“世界”の頂点に立った。 「総力戦」 その言葉通り指揮官の決断に迷いはなかった。 先発の山口が、決勝の異様な雰囲気にのまれ、満足にストライクが入らず先頭を歩かせ、続くキム・ハソンに先制2ランを浴びた。さらに二死からキム・ヒョンスにも右中間スタンドに目の覚めるような一発を運ばれた。ヨーイドンで3点のハンデを背負うことになったが、稲葉監督はベンチに帰った山口に直接労いの言葉をかけ1イニングでの継投を断行した。 「球が浮いていたし、バッターに嫌がる素振りがなかった。苦渋の決断だったが、後ろにみんながいたので」 世界に誇る投手陣への信頼が采配のバックボーンにあった。