なぜ侍Jは韓国監督が「敗因について何も言うことはない」と認めるリベンジでプレミア12初優勝を果たせたのか?
元阪神で2軍監督を務めた掛布雅之氏は、「日本はハイブリッドな野球を見せた。投手陣の質の差。1点を取れる野球と取れない野球の幅の差が出た」と分析した。 「韓国はパワーの野球で一気に力で押し勝とうとした。3度ノーアウトの走者が出たが、次打者はいずれも外野フライ。何もしてこなかった。点の奪い合いになれば、韓国だろうが、1点をしのぎ合う戦いになれば、日本にアドバンテージがあった。先発のヤン・ヒョンジョンはコントールが雑だった。そこにつけこみ毎回、四球を選び、2回で50球以上を投げさせてダメージを与えた。対して日本のピッチャーは、半速球を絶対にゾーンに投げず、速いストレートを見せ変化球は丁寧に低く落とすことを徹底していた。後半に出てきた甲斐野、山本の150キロを超えるストレートに140キロ台でコントロールされた落ちるボールは初見では打てない。守備も素晴らしかった。稲葉監督は日本の特徴を生かす野球をして守り勝った。韓国が根本的に野球のスタイルを変えてこない限り、来年の東京五輪でも日本の有利は変わらないと思う」 韓国のメンバーは、日本の金メダル授与、鈴木のMVPが発表されたのを見届けるとベンチ裏に下がった。 公式会見にはキム・ギョンムン監督と、先制2ランのキム・ハソンが呼ばれた。 「日本チーム優勝おめでとうございます。ただ準優勝を嬉しく思うチームはないと思う。今日負けたことは忘れて、来年8月の五輪では、よく準備をして勝てるようにしたい」 キム監督は、勝負をわけたポイントを聞かれると、「負けたことにつきましては、監督の責任。敗因については何も言うことはありません」と多くを語らなかった。 だが、キム・ハソンは、憮然とした顔でリベンジを誓った。 「日本チームと韓国チームの違いはよくわからない。日本にいい選手が多いというが、韓国にもいい選手がいる。来年の五輪では勝てると思う。この負けの記憶をもって勝てるようにベストを尽くす」 キム監督も「中心打者が最後まで打てなかったのは残念だが、野球というのは、そう簡単なものじゃない。若い選手の成長を見ることはできた。投手にもいい選手はいた。来年8月に五輪で戦うため新しい代表チームを結成する必要がある」と出直しを誓った。 日韓宿命のライバル物語は、どんな形になるにせよ、来年の東京五輪へ続くことになる。 稲葉監督にも覚悟はある。 「韓国は強いチームだと改めて感じた。2試合勝ったが紙一重だった。五輪もいい戦いになっていくと思う」 その前に来年のキャンプから国内の五輪代表を巡る競争が始まる。五輪のベンチ入りメンバーは24人。今回よりも4人減ることになる。 ヒーローとなった山田も「東京で行われるオリンピックにはなんとしてでも出たいし、また代表に選ばれるようなシーズンの成績を残したい」と言う。 「ジャパンに対して熱いメンバーが集まってくれた。最後(五輪)は熱いメンバーで戦いたい。また五輪へ向けて、選手をしっかりと見ていきたい」 「プレミア12」で優勝をつかみとった戦いを通して、日本の何が通用して、何に問題があるかも浮き彫りになった。本当の喜びはまだ先に。稲葉監督の視線は来年の夏、東京五輪に向けられている。