なぜ侍Jは韓国監督が「敗因について何も言うことはない」と認めるリベンジでプレミア12初優勝を果たせたのか?
その裏、日本は二死一塁から頼れる4番の鈴木(広島)がレフトフェンス直撃のタイムリーツーベースでまず1点を返す。 「初回にいきなり2本のホームランを打たれた。このままいったらすごい展開になってしまう。いいピッチャーだったので積極的に攻めていこうと」 韓国バッテリーは、これまで他チームがやってこなかったインコース攻めをやってきたが、大会MVPに選ばれることになる鈴木のバットは止まらなかった。 2回からは、米国戦先発から中4日の“サブマリン”高橋礼(ソフトバンク)。ひとつ四球を出したが、ゴロアウトが3つ。ここから日本屈指の投手陣による8イニング完封ショーの始まりである。 その2回裏二死からドラマが生まれた。會澤が四球で歩くと、菊池(広島)が内野安打でつなぐ。そして山田がファウルで粘りながら徐々にタイミングを合わせた。 「集中して自分のスイングをしよう。チームに迷惑をかけて全然打てていなかったので悔しい思いを胸にフルスイングした」 韓国の16勝投手のコントロールは荒れていた。低めに抑えようと投じられたインローに入ってくるストレートをクルっと回転してフルスイング。逆転の3ランがレフトスタンドの上段で跳ね返った。 オープニングラウンドのプエルトリコ戦、台湾戦では、1番でスタメン起用されたが結果を残せずスーパーラウンドに入って控えに回っていた。メキシコ戦で再び1番で起用されたが、そこでもノーヒット。だが、プレ決勝戦となった韓国戦では2本の二塁打を放ち「形が良くなっている」との感触をつかんだ。連日、応援に来ていた秋山にも「力みが抜けている」と後押しされて自信につながった。 控えに回っているときも「スタメンで出られないということを意識しなかった。むしろ使ってもらったときに強い感謝の気持ちが湧いた」という。 トリプルスリー3度のヤクルトの看板打者は、自らのプライドよりも「絶対に世界一を取る」とチームのことを考えた。ファーストミットを持参。慣れない一塁も守った。 「そんな気持ちに初めてなれたのはすべては日の丸を背負った責任だと思う」 稲葉監督はずっと「結束」という2文字を使ってきた。