「9条」もノミネート ノーベル平和賞はどう決まる? /早稲田塾講師 坂東太郎のよくわかる時事用語
中村修二教授らのノーベル物理学賞受賞に沸く日本ですが、10日午後(日本時間)に発表されるノーベル平和賞には、「日本国憲法9条を保持してきた日本国民」がノミネートされています。ノルウェーのオスロ国際平和研究所(PRIO)が受賞予想のトップ候補に挙げたこともあり、結果に注目が集まっています。日本人の平和賞といえば、「非核三原則」を打ち出した佐藤栄作元首相が過去に受賞していますが、憲法9条は人でも団体でもありません。 【インフォグラフ】数字で見る日本国憲法 3大原理は何? ノーベル平和賞はどのように決まるのか、過去の受賞例を振り返りながらみていきましょう。
申請して受理されるには?
ノーベル賞とはダイナマイトの発明で知られるノーベル(1833~96年)が築いた巨額の遺産ほぼ全額を基金として創設された賞です。簡単にいってしまうと「スウェーデンの賞」(ノルウェーはノーベル存命中はスウェーデンとの連合王国だった)。「物理学賞」「化学賞」「経済学賞」がスウェーデン王立科学アカデミーによって、「医学生理学賞」はスウェーデンの医科大学が「文学賞」はスウェーデンの語学研究所が決定します。平和賞だけがノルウェーです(1905年に連合解消)。ノーベルの遺言に基づく措置ですが、理由までは分かっていません。 まず前年の9月から候補者の推薦を受け付けます。ノルウェー・ノーベル委員会(5人)が各国の政府(国務大臣)、国会(国会議員)、研究機関(大学教授など)および過去の受賞者や過去・現在のノーベル委員会委員などに候補者推薦要項が届けられます。平和賞だけは個人だけでなく団体も受賞対象となります。 翌年2月に締め切られ、選考スタート。委員会を中心に多くて20程度に絞り込みます。近年の傾向ではこの段階まで達するのに候補者の10分の1程度となっているようです。候補者名も選考過程も秘密で50年経つと研究目的のため公開されます。10月に受賞者を発表し、12月に授賞式という運びです。今回の憲法9条は市民団体が推薦を目指し、候補者を推薦できる大学教授らの承諾を得てノミネートの運びとなりました。 平和賞は、1901年から始まる古い賞で、第一次世界大戦時(1914~16年)と第二次世界大戦時(1939~43年)は「該当なし」でした。