「9条」もノミネート ノーベル平和賞はどう決まる? /早稲田塾講師 坂東太郎のよくわかる時事用語
突出する日本の「ノーベル賞信仰」
ノーベル賞が日本で事実上「世界最高の賞」と位置づけられる理由として、もちろん選考委員の努力があったことは認めますが、それにしても評価が絶大すぎます。現に他の北欧の賞があまり注目されてもいません。 そうなった最大の理由は、日本人で初めて受賞(物理学)した湯川秀樹博士(1949年)が、文字通り性格的にも思想的にもすぐれていたので、その類推を後の受賞者に重ねるからでしょう。また湯川博士はすぐれた文章家で、多くの人に著作を通して親しまれたので、教育者のイメージも重ねられているように感じます。 さらにいえば、湯川博士の受賞が敗戦直後であり、打ちひしがれた日本人に誇りを取り戻す効用があった点も見逃せません。
--------------------------------------------------------- ■坂東太郎(ばんどう・たろう) 毎日新聞記者などを経て現在、早稲田塾論文科講師、日本ニュース時事能力検定協会監事、十文字学園女子大学非常勤講師を務める。著書に『マスコミの秘密』『時事問題の裏技』『ニュースの歴史学』など。【早稲田塾公式サイト】