シカの食害対策に「奥行き」ある立体柵…「飛び越えられない」認識させる
効果は目に見えて表れている。県が昨年10~11月の24日間にわたり男性の牧草地に監視用のセンサーカメラを設置したところ、シカの侵入は23回確認されたが、立体柵を設置した後の19日間はゼロに。映像には、シカが柵を跳び越えようとして諦める様子も記録されていた。
増殖抑える効果も
ただ、その後に一部の柵で壊された形跡も確認されたことから、同センターは今年11月、藪川地区の別の牧草地に高さを1・2メートルに伸ばした立体柵を設置し、さらなる効果の検証を進めている。中森さんは「安価に設置でき、太陽光などの熱を吸収しやすいので、春の訪れと同時に周りの雪が解けやすいメリットもある」と語る。
シカの食害に詳しい県立博物館の鈴木まほろ学芸員は「シカ対策の平面柵では、通常1・7メートル前後の高さが必要だが、1メートルの高さでも効果を発揮する今回の立体柵は画期的だ。牧草の食害を防ぐことはシカの増殖を抑えることにもつながる」と期待を寄せている。