「天才タマゴ」と呼ばれたミニバン! トヨタの初代「エスティマ」とは
キュートなキャッチフレーズで鮮烈デビュー!
「天才タマゴ」 こんなキュートなキャッチフレーズでデビューした初代エスティマは、世界を震撼させるほどエポックなモデルでした。 【画像】斬新デザインがカッコイイ! トヨタ初代「エスティマ」の画像を見る(15枚)
それまでのミニバンは、フロントサスペンションの上にコクピットがありました。エンジンもドライバーの下に位置していました。トラックのようなレイアウトでした。そのために、エンジンやサスペンションの上に座るドライバーは乗り心地に悩まされていました。快適性に難があったのです。真下から突き上げられ、尻の下のエンジンが振動するのですからそれも道理ですよね。 エスティマは、フロントサスペンションを前端にずらすことでドライバーを突き上げから解放しました。なおかつ直列2.4リッターエンジンを75度も傾けて搭載することで、驚くほどの低床化を実現したのです。いわばミッドシップレイアウトです。 クルマにとって最重量物であり最大サイズのエンジンは、豊かな室内空間を満たさなければならないモデルにとっては邪魔な存在です。ですが、それがなければ走らない。苦肉の策ではありますが、アイデアと技術の勝利だと思いますね。 それでいて、フォルムはイビツにならず、というよりむしろキュートなそのスタイルは革新的であり、デザイナーの才能を感じさせます。 まさに「天才タマゴ」です、サイドから眺めると、その特異なフォルムで印象的ですね。丸い卵のようでもあり、猫背の恐竜のようでもあります。とても愛らしいのです。
インテリアも特徴的でした。トラックのようにフロントガラスが目の前にそそり立っていませんから、圧迫感がありません。ダッシュボードの造形にも余裕が確認できます。いまでこそ、エスティマに触発されたミッドシップレイアウトのモデルも少なくありません。 衝突安全テストの基準も厳しくなり、ドライバーの前方に衝撃吸収のための生存空間を設けなければならないこともあり、フロントガラスとの距離は伸びています。ですが、当時としてはその革新的でした。その発想の豊かさに気持ちが射抜かれたことを記憶しています。