先端をゆくマウンテンブランド「ザ・ノース・フェイス」「パタゴニア」「ノローナ」担当スタッフの最新トレンド座談会
軽さと耐久性のバランスを模索する
――’24年の秋冬製品でも、軽さ〞というのは大きなキーワードなんでしょうか? 片桐 製品の軽量化を長らく続けてきましたが、フィールドで勝負をかけるような大事な場面で壊れる、破れるリスクがあるものはもうやめようという流れです。軽いことも重要ですが、信頼できる耐久性をしっかりと備えるバランスをいま取っているところですね。 小澤 軽くて強いという要望が求められていましたが、それは相反する部分ですからね。 片桐 そうそう。僕らが定めている耐久性の数値だけじゃなく、実際にアスリートたちがフィールドでテストすることによってどれくらいの負荷に耐えたかも重要。それらを踏まえ本社スタッフが素材メーカーと開発レベルでおつき合いしていますね。 小澤 それは本当に。「軽いことがよい」という流れもいっとき業界にありましたが、一方でそのデメリットもみえてきたと思います。うちも生地メーカーが出した基準値だけではなく、ゴールドウイン独自の基準でもテストを行ないます。軽かろう弱かろうみたいなものをアウトドアメーカーとして出すわけにはいきませんから。 大内 まさに、ですよね。ノローナは軽さに振り切った製品はもう作らないというのを宣言しているくらいです。 片桐 あ、やはりノローナもそうなんですね。 大内 はい。もう耐久性のない製品は作りたくない。なぜなら頻繁に買い替えるほうが地球環境にはよろしくないという話。 片桐 まったくうちも同じ文脈ですね。 大内 ノローナのデザイナーは大手の生地メーカーだけじゃなく、その生地メーカーを長年支えてきた工場の職人たちが独自に作り出す素材にいま注目しています。「アウトドアウエアとしての生地の品質も、環境問題への取り組みとしても、どちらもノローナの希望を叶えられるとてつもなくすごい素材が工場単位で作られ始めている」と。台湾や香港などのアジアなんですけど、直接現地へ探しに出向いたりしていますね。