先端をゆくマウンテンブランド「ザ・ノース・フェイス」「パタゴニア」「ノローナ」担当スタッフの最新トレンド座談会
’25年は各国の法律が大きく変わる転換期
――24FWシーズンの傾向、ブランドのなかでこういう点が変わってきたという実感のある部分など、なにかありますか? 大内 そうですね……。やっぱりPFAS(※2)フリーがいよいよ本格化し、世界的な動きとしてアウトドアウエアのあり方も変わってきていることについては外せないでしょうね。 片桐 パタゴニアは環境問題に関するさまざまなことを積極的に発信する企業ですが、ノローナだってC0(※3)とか、だいぶ前から取り組んでおられますよね。 大内 そうなんですよ。 小澤 うちもあまり表立って環境について語りませんが、実際は素材を環境配慮型に変更している最中です。PFASフリーに関しても新規品番から順に素材を変更して、’25年にはほとんどが環境配慮型に切り替わります。当然、期限を決めて一切販売もしなくなる予定だし、これはいずれ会社として取り組んでいくと思ってます。 片桐 日本のゴールドウインがってことですね。 小澤 ザ・ノース・フェイスだけでなく、ゴールドウイン全体として対応していく予定ですね。 大内 変更はジッパーのタブとか小さな部材まで全部ってことでしょ? それは作る側の人間にとっては大変だよね。 小澤 そうなの! 環境問題に対応させるために既存製品の素材やパーツを新しいものに載せ替えるだけでも大変。各担当者が毎日がんばって対応してくれてるけど、置き換えだけでは新製品扱いにはならないんだよね。同時進行でイノベーションも開発も両軸で対応する必要があるから、本当に時間が足りない。もちろん開発をするのは本当に楽しいんだけど! 大内 そうなるわな~! 片桐 うちはウェイダーを最後に’25年1月からすべての製品がPFASフリーとなります。’25年から各国の法律が大きく変わりますから、企業はそこをめがけて置き替えようとしている印象はありますね。 大内 アメリカではすでにいくつかの州でPFAS製品の販売の禁止も始まってますよね? 片桐 はい、そう聞いています。 ―― みなさんは自然のなかで実際に遊ぶことをライフワークとされている、心底アウトドアが大好きな方たちだからこそ、自然環境のためにという熱意があるように感じますね。 大内 それは絶対にある。ノローナ本社の代表はもちろん、デザイナーたちは、結局は快適なウエアを作ることが環境を守ることに一番近道だと言っていて。自然のなかで遊んでいない人が環境問題や海洋汚染にはなかなか気づかない、興味が向かないと。快適なウエアを作って自然のなかで遊ぶ人を増やすことこそ、環境問題に取り組む大きなエンジンになると言っているんです。 ―― たしかにピンと来ていない人は世の中に多いと思います。 片桐 うちは2030年までに生産工場はもちろん、サプライチェーンを含む全事業でカーボンニュートラルを達成するという目標を掲げています。壮大な話ですが、世界に先駆けて僕らパタゴニアの役目だと思っています。 小澤 気が遠くなる話ですね……。 片桐 いや、ホントに。実際本社から日本に対する目標達成のプレッシャーも年々強くなって……あ、グチっぽいですね。今日、話をいろいろとわかっていただけるみなさんと話せてガス抜きできたかも。