いつもの食事と食材選び、じつは《健康コスパ》が上がる「超かんたんな方法」があった…秋冬にまずは試してみて
中国5000年の歴史に基づく「中医学」という壮大なエビデンスのもと、これまでのべ3万人以上のからだを診てきた、北京中医薬大学医学博士で、日本ホリスティックメディカルビューティー協会理事長を務める、美容健康サロン「BHY」代表取締役・尹生花氏。 【図解】尹先生が教える…不眠、イライラ、疲れを軽減する「ツボ」の場所 「生活習慣だけではなく“内臓を鍛える”習慣」として、東洋医学の智慧「臓活」を生活に取り入れることを提唱する同氏の最新刊『臓活習慣 こころとからだを巡らせる!』(ワニブックス刊)より一部を抜粋・編集し、本稿では、寒い時期特有の「疲れ」を撃退してくれる超簡単な“食養生のメソッド”について、中医学博士が徹底解説します。
「旬のもの」を食べる大きなメリット
臓活において、食事はもっとも簡単に取り入れやすく、また、五臓の働きを維持するためにも、なにより大切にしたい身近な養生の一つです。 最初に意識していただきたいのが、「旬のもの」を食べるということ。人間の五臓の働きは、季節の流れに連動しています。よって、旬のものは、その季節ごとのからだの状態に合っていて、受け入れやすく、相性の良い食材と言えます。言うまでもなく、旬ならではの栄養と旨味も、詰まっています。 たとえば、秋は五臓でいうと「肺」の季節で、乾燥しやすくなります。そのため、からだを潤わせる梨や山芋などを積極的に摂るようになるでしょう。つまり、その時々のからだ(臓)が必要としている食材、というわけです。 また、臓活では、なによりバランスを大切にしますから、食材のかたよりや摂り過ぎを防ぐといった側面からも、理にかなっていて、大きなメリットがあるのです。 いくら臓に良いからといって、同じ食材ばかりを毎日食べつづけたり、過剰摂取したりすると、かえって臓の負担になってしまいます。「過ぎたるは及ばざるがごとし」ということですね。 五臓の働きを促す「旬のもの」をバランス良く取り入れ、季節に合わせた食事を楽しむのも臓活なのです。
秋は「白い食材」冬は「黒い食材」を取り入れる
「旬のもの」と合わせて、臓活習慣に取り入れていただきたいのが、五臓それぞれと相性の良い「五色」を意識した、食材選びです。 「五色」とは、青(緑)色、赤色、黄色、白色、黒色に分けられます。たとえば菜の花やセロリは青(緑)色など、そのまま食材の見た目の色によって、五臓それぞれに有効な働きがあるとされます。 青(緑)色は「肝・かん」、赤色は「心・しん」、黄色は「脾・ひ」、白色は「肺・はい」、黒色は「腎・じん」を活かしますが、この五臓それぞれに対応する色を覚えておくだけでも、食材選びのヒントとなるはずです。 そこで真っ只中の秋、そして迫り来る冬に向け、この「五色」を意識した「秋・冬」シーズンの食材選びのヒントを、ご紹介していきたいと思います。 まず、「肺」とつながる季節である秋に取り入れたいのは、「白」色の食材。大気の乾燥から肺を守り、潤してくれる白い食べ物として、先ほどご紹介した梨、山芋をはじめ、長ねぎ、豆腐、牛乳、白米などもおすすめです。 そして、「腎」とつながる季節である冬に取り入れたいのは、「黒」色の食材。寒さで疲れやすい冬には、疲労回復にすぐれた栗、黒ごま、昆布、ひじき、黒米、うずらの卵、あるいは、精をつけてくれるナマコなどもおすすめです。 食べ物の「色」を意識するという“超かんたん”な食養生、さっそく今日から、食卓に取り入れてみてはいかがでしょうか。 五臓のバランスをととのえ、からだ中に気を巡らせる――。食養生をはじめとする、まいにちの小さな心がけや習慣の積み重ねこそが、健康面で不安定になりがちな時代を生き抜くための術となると言っても、過言ではありません。 つづく<いつもの朝ごはん、じつは「食べる時間」が重要だった…!健康な体をつくる「ベストタイム」を中医学博士が教える>では、朝ごはん抜きの危険性などについて解説します。
尹 生花(中医学博士)