政治集会というよりまるで「フェス」? 韓国大統領弾劾の裏でうごめく権力闘争
2024年8月15日に彼が打ち出した「統一ドクトリン」にもそれは色濃く反映されていた。ドクトリンのキーワードは「自由統一」で、それは韓国による北朝鮮の吸収統一に他ならない。 「南北とも同じ民族」を基盤にせず、自由民主主義で半島を統一して北朝鮮を消滅させるべし、と異例の踏み込みをした大統領とは、どういう人物なのか、野党は今一度分析すべきであった。 結局のところ、与党も野党も飽くなき権力闘争に夢中となるあまり、怨念めいた憤怒と焦燥感が尹錫悦の中で膨らんでいたことを見過ごしたのではないか。国会で弾劾が可決されたのを受けて彼が述べた談話には、このような一節がある。
「国民のために悩みながら推進してきた政策などが足を引っ張られた時は、気が焦って夜も眠れませんでした」 もう1つ、若者らのお祭り騒ぎを私がやや冷めた目で見たのは、これから待ち受ける法廷闘争が熾烈なものになりそうな見通しであるためだ。それも、尹錫悦や、戒厳令を提案したとされる金龍顕(キム・ヨンヒョン)前国防相らのだけではない。李在明もやはり被告の立場だ。 皮肉にも、尹錫悦に対する弾劾訴追案が提出される直前の12月12日、総選挙で躍進した進歩派野党「祖国革新党」代表で文在寅政権時代の法相だった曺国(チョ・グク)氏に対する判決が最高裁で確定した。
■政界の主要人物がこのまま消え去る? 子どもの不正入学疑惑に絡んで公文書偽造などに問われたものだ。懲役2年の実刑で、彼は失職して収監されることとなり、5年間は被選挙権を失う。 李在明もすでに公職選挙法違反の罪に問われて1審で懲役1年・執行猶予2年の有罪判決が受けていて、これが最高裁で確定するとやはり5年間は被選挙権を失い、次の大統領選挙に出馬できなくなる。 彼としては、ぜひともそうなる前に大統領選が実施されて出馬したいわけだ。尹錫悦の弾劾が決まると、彼が「次は1日も早く罷免を」と訴えたのは、自分の都合も大いに含まれている。