「新年の目標」を立てて「変わりたい」人へ、新しい習慣を続けるコツを専門家が伝授
やる気になったらどうすべきか
きっかけが何であれ、やる気が出たらできるだけ早く行動を起こすことが重要だと、ウッド氏は言う。「古い習慣が邪魔をする前に行動を決断する機会は、ほんのわずかしかないかもしれません」 ミルクマン氏も同意して、やる気が出た瞬間が、計画を実行に移す理想的なときだと指摘する。そうすれば、熱が冷めた後も長期的に好ましい結果を出す可能性が高くなる。 例えば、毎日決まった時間に新しい習慣を取り入れ、それを含めた一日のスケジュールを書き出して毎朝目に留まるところに貼っておく。または、やる気が高まっているうちにジムに入会し、月々の会費の支払い方法を設定してしまえば、運動への関心が薄れてきた後もお金を払ったのだから続けようという気持ちが続きやすい。 なかには、自分に報酬や罰を与える「コミットメントデバイス(装置)」という手法で、当初の熱が冷めた後もやる気を持続させる人もいると、ミルクマン氏は言う。 2010年10月に学術誌「American Economic Journal: Applied Economics」に発表された研究は、このコミットメントデバイスを活用した禁煙の効果を測っている。 実験に参加した喫煙者は、自主的に銀行口座にお金を入金する。そして、6カ月の間抜き打ちの尿検査に合格しなければ、そのお金を引き出すことができない。もし不合格なら、お金は慈善団体に寄付されてしまう。すると、このコミットメントデバイスを活用した人はしなかった人よりも禁煙の成功率が40%高かったという結果が出た。
新しい習慣を続けるコツ
新しい習慣を長続きさせるもう一つの戦略は、大きな目標を、小さく、より具体的な目標に切り分けるというものだ。つまり、「1カ月で5キロ痩せる」というよりも、「毎日のカロリー摂取量を制限して、1日30分ジムに行く」という目標を立てた方がいい。 「漠然とした目標を設定したり、何の目標もなかったりするよりも、具体的な目標を設定した方が成果を上げられることは、研究で一貫して示されています」と、ホング氏は言う。 新しい習慣を、既に身に着けている習慣に追加する方法もある。「習慣スタッキング」として知られる方法だ。夜寝る前に必ず行う歯磨きの前に「本を10ページ読む」という目標を付け加えると、続けやすい。 また、楽しむことも重要だ。「すぐに報いが得られるような行動を見つけるとよいでしょう」とウッド氏は言う。「ジムに行くのが嫌なら、走りながらポッドキャストを聴いたり、友だちと一緒に運動したりすると、より楽しくできます」 やる気を持たせてくれるものが何であれ、少し忘れてしまったり、失敗したりしても、自分をあまり責めないことも大切だ。 「必要な変化を起こすのに、1月1日まで待つ必要はありませんが、もしそうしたとして、期待通りうまく行かなかったら、もう一度2月1日から始めてもいいですし、春分の日にまた始めてもいいのです」と、ウィーラン氏は提案する。「変化のサイクルのなかでは、自分にとって何がうまく行き、何がそうでないのかを知ることも大切です」
文=Daryl Austin/訳=荒井ハンナ