「新年の目標」を立てて「変わりたい」人へ、新しい習慣を続けるコツを専門家が伝授
「人と一緒に目標設定」の欠点
しかし同時に、これら利点の多くは裏を返せば欠点にもなる。たとえば、自分のやる気の維持を相手に頼ってしまうと、相手がジムに行くのをやめてしまったときにどうなるだろうか。 「自分もやめたくなるでしょう」と、米ペンシルベニア大学ウォートン校の教授で『自分を変える方法:いやでも体が動いてしまうとてつもなく強力な行動科学』(ダイヤモンド社)の著者であるケイティ・ミルクマン氏は言う。 さらに、自分の結果をほかの人と比べ、自分よりも成功しているのを見て落ち込んでしまうこともよくある。「ほかの誰かがうまく行っているように見えるからと言って、あなたが失敗していることにはなりません。しかし、私たちはよく自分にそう言い聞かせてしまうのです」と、ウィーラン氏は言う。 経済的な安定、学校や職場での生産性、健康的な食生活など、人生で最も重要な目標のいくつかは、必要な行動や慣習を長く続けなければ達成できないが、それらを「他人に対する説明責任というような抽象的な動機付けだけで続けるのは難しいです」と、ウッド氏は言う。 もう一つ問題がある。それは、新しく何かを始めることに最初のうちは気分が高揚しても、何カ月もたって新しい習慣が新しくなくなり、もはや新鮮味を感じられなくなったときにやる気を持ち続けるのが難しい点だと、ミルクマン氏は指摘する。
行動を変える最適なタイミングとは
そのようなわけで、新しい習慣を一瞬のタイミングや(一時的に)同じような志を持った人々と結びつけるよりも、「こういう理由で自分は変わりたい」という、強固で個人的に重要な理由を特定する方が重要だ。 ウッド氏は「変わりたい」と思った瞬間を「変曲点」と呼ぶ。例えば、もうすぐ高校の同窓会があるから体重を少し減らしたくなったとか、銀行口座が残高不足になったのを見てそろそろキャリアアップを考えるべきだと気付いたとか、急に体を壊したことでこれからは健康的な生活を優先させようと考えたときなどが、変曲点だ。 このような瞬間は、長続きするやる気を与えてくれる傾向があると、ホング氏は言う。「ほかの人たちに合わせて何かをするというよりもずっと意義があり、深いものに根差しているからです」 また、自省を促す出来事が起こるまで待つ必要もない。「変化が必要だとわかっているなら、先延ばしにすべき理由はどこにもありません」と、米ダートマス大学の脳・行動科学者のカイル・スミス氏は言う。「自分の体が何かを変えるよう訴えているなら、何か重大なことが起こるのを待たずに、その訴えに耳を傾けてください」