難関女子中に「仲良しグループ絡みのトラブル」が極端に少ないワケ。“中高一貫マニア”の人気家庭教師に聞いた
受験のプロが「受験の成功は親が1割」と力説する理由
親が疲弊すると、当然子どもにいい影響はありません。他にも親同士の付き合いやスタンスについて、気をつけるべき点を教えていただきました。 「我が子の受験情報は不用意に明かさないほうがいいとは思いますが、『難関校に受かった』などの話は、当人が話さなくても勝手に広まりますので、ある程度割り切りましょう。そのときの親の対応としては、あくまでも子どもが頑張っただけだというスタンスを取って欲しいです。 逆に子どもの受験結果が思ったようにいかなくても、変に劣等感を持たず、運だと割り切りましょう。もちろん受験の運も、読書や計算力をつけることで巡りを良くすることはできます。しかし、そうはいってもコントロールできない要素はゼロにはできませんので、思い詰めないで欲しいです」 長谷川さんに中学受験における運の要素の割合をズバリ聞くと、「運は4割!」と話します。意外と多くてびっくりするのですが……。 「中学受験は、子どもの努力が5割、運が4割、親の努力が1割だと思います。意外に思われるかもしれませんが、運の要素は結構大きいです。例えば塾選びでみたとき、1科目だけでも嫌いな先生がいたら終わりみたいなところがあります。転塾するにしても、慣れない環境におかれることによって基本的に学習効率が下がるので、ネガティブな要因になりやすいです。 受験の前段階として公文式(公文教育研究会が提供する、自学自習形式で伸ばす塾)を始める子も多いですが、こちらも子どもの理解度に合わせて進める先生と、カリキュラムのペースを重視し、同じことを繰り返す先生がいます。これは校舎の当たり外れなわけですが、入るまでは分かりません。親は入塾後など、子どもの様子をしっかり観察する必要はありますが、運が悪かったと割り切るドライさも持って欲しいです」
「みんな努力している」子ども同士のトラブルを避ける考え方
主体はどこまでいっても子ども。長谷川さんの話からはそうした当たり前の事実を改めて実感しますが、では子どもが受験に取り組む中で、友達同士のトラブルを起こさないために身につけておきたいことはあるのでしょうか。 「上から目線にならず、他人には優しくしていく心持ちが大事だと思います。親御さんは、普段のコミュニケーションの中で、そういった視点を持てるよう導いてあげられたら良いですよね。受験勉強をしていると、自分よりもレベルの低い子との関係も当然出てきます。そうなったとき、自分の子が上から目線にならず、対等さを持ち優しくすることができるよう意識してみてください。 また、どんな子も『自宅では頑張っているんだ』と思う謙虚さを持てるようにもしていって欲しいです。子ども社会にも“明らかな天才”と遭遇することはありますが、それでもみんな裏では頑張っているんだと親が教えて上げることで、子どもの中のしんどさを分散させましょう」 受験期や受験後も、大事なのは友達づくりだと話す長谷川さん。とくに受験を「一緒に頑張ろうね」といった団体戦の様相に変えられると、子どものメンタルは安定しやすくなるといいます。 しかし近年の大手塾の学習フォローや家庭へのフォローが手薄になる中で、深い友達は作りにくくなっているそうです。もしお子さんに同じような成績で同じような学校を選ぼうとする友達ができたら、それは超ラッキーなこと。親御さんはそういった存在を大切にするよう、お子さんを導いてあげられたら良いかも知れません。 【長谷川智也】 ブログ名はジュクコ。1980年兵庫県明石市出身。高卒の両親のもとに育つもハードな中学受験を経験。白陵中学校・高等学校を経て、東京大学卒業後、大手塾に勤務、人気講師となる。2009年に独立してフリーランスの「プロ家庭教師」に。年間300件を超えるコンサル申し込みが殺到する。甲冑メタルバンド「Allegiance Reign」のベーシストとしても本気で活動中。ブログ「お受験ブルーズ」を運営。近著に『中学受験 奇跡を引き出す合格法則 予約殺到の東大卒スーパー家庭教師が教える』(講談社)など。 <取材・文/おおしまりえ> 【おおしまりえ】 コラムニスト・恋愛ジャーナリスト・キャリアコンサルタント。「働き方と愛し方を知る者は豊かな人生を送ることができる」をモットーに、女性の働き方と幸せな恋愛を主なテーマに発信を行う。2024年からオンラインの恋愛コーチングサービスも展開中。X:@utena0518
女子SPA!