根っからの面倒くさがり屋も成功「すごい習慣化」 「大切だけど退屈」なことが先延ばしにつながる
大切なのは自分が楽しいと思えるものをカップリングすることだ。より現実的な話をすれば、現在つらいことに取り組んでいる場合、その苦労が笑顔につながるような事象と組み合わせることで、よりよい結果がもたらされるといったしくみをつくると効果的だ。 ■退屈、かつ大切な習慣ほどさぼりやすい このアイデアを利用し人気を博しているのが「懸賞つき定期預金」として知られる金融商品である。貯蓄という節約行為を宝くじや懸賞品とセットにすることで、人々に夢を与え、貯蓄を促すというしくみだ。
楽しいことと楽しくないことを組み合わせる方法については、より可能性を秘めた戦略がある。カリフォルニア大学ロサンゼルス校のビジネススクール、UCLAアンダーソン・スクール・オブ・マネジメントでマーケティングを教えるアリシア・リーバーマン助教は私の同僚だが、彼女が提唱しているのが「歯磨き」との組み合わせだ。 リーバーマンによれば、私たちは総じて歯を磨く時間が短い。彼女は常日ごろからさまざまなことに情熱を注いでいるが、かつて公衆衛生に携わっていた経験から、口腔ケアに対する意識が高い。歯科医は1回につき2分間の歯磨き(それを1日2回――当然だが)を推奨している。
しかし洗面所に立って歯を磨いていると、2分間という時間はやけに長く感じる。番組をストリーミング配信したり、SNSをチェックしたり、無心でポテトチップスを食べたりしているときには、それほど長く感じないのに。 リーバーマンは歯磨きに「気晴らし没頭法」を取り入れるよう推進している。歯磨きや手洗い、散歩のように、退屈だが大切な習慣をさぼってしまう場合、「気晴らしになるようなことを一緒に行うとうまくいく」というのだ。
気を取られて歯磨きがおろそかになってはいけないが、それでも効果がある。実際、リーバーマンの研究チームの実験によると、クマやオオカミが登場する見ごたえのあるドキュメンタリーを観ていた被験者が歯磨きにかけた時間は、淡々と自然の風景が流れるビデオを見ながら歯を磨いた被験者より、約30%長かった。 「気晴らし没頭法」が「ご褒美とのカップリング」と異なるのは、退屈なタスクとペアで行う行為は「少しだけおもしろいもの」でなければならないということだ。