「俳優が社会問題を直接語るのは難しくても……」磯村勇斗が映画を通じて描く未来
「俳優という仕事を通して社会に問いを投げかけ、メッセージを届けられる存在でありたい」。 【写真11点】「映画『若き見知らぬ者たち』主演 磯村勇斗さん」の詳細写真をチェック 磯村勇斗は、その強い信念を胸に抱き、俳優として新たな挑戦に踏み出した。映画『若き見知らぬ者たち』でその姿勢は鮮明に表れ、さらに故郷・静岡で立ち上げた映画祭は、彼の情熱が形になったものだ。 映画を通じて地元を活気づけ、次世代へメッセージを繋いでいくーーそんな磯村勇斗の挑戦は、今始まったばかりだ。
今の時代、俳優が果たすべき役割とは?
磯村勇斗は、その問いに真剣に向き合っている。 「ただ役を演じるだけではいけないと思うんです」と彼は語り始める。俳優として社会に対してメッセージを発信できるような存在でありたいと、強く感じているのだ。 「本来なら、役に集中するだけでも十分だったかもしれません。でも、今は俳優も考え、行動しなければならない時代だと思います」。 俳優としてのキャリアは10年。まだ短い道のりだが、何度も業界の壁や現状に対する疑問に直面してきた。
「今こそ、保守的なシステムを再構築するタイミングがきていると感じます。このままでは、次の世代も同じ壁にぶつかってしまうかもしれない。 それは避けないといけないし、現状をそのまま続けるのはつまらないとも思います。だからこそ、新しいアプローチをこれからも探し続けていきたいです」と強い決意を示す。 その瞳には、俳優として、そして表現者としての強い自覚が宿っている。それが磯村の揺るぎない信念を支え、挑戦を続ける原動力となっている。
磯村勇斗、映画『若き見知らぬ者たち』で見せた新たな挑戦
現在公開中の映画『若き見知らぬ者たち』に主演した磯村勇斗は、俳優として強いメッセージを発している。 この作品は、日本・フランス・韓国・香港の合作で、内山拓也監督が手がけた人間ドラマ。監督の知人に起こった実際の事件を基に、理不尽さや無情さを鋭く描き出した意欲的な作品だ。 磯村が演じる彩人は、父の借金と母の介護を背負うヤングケアラー。昼は工事現場、夜は両親の遺したカラオケバーで働き、かつて目指していたサッカー選手の夢を諦め、今はその希望を格闘技選手の弟に託している。 息の詰まるような生活に蝕まれながらも、彩人は恋人の日向(岸井ゆきの)との小さな幸せを掴みたいと考えている。しかし、そのささやかな幸せすらも、突然の暴力によって奪われてしまい……。